無料動画のGYAO!で配信してたので見てみました。
勝新太郎の座頭市シリーズとしては最終作になるのかな。
1989年の作品かあ。
すごい昔になっちゃったなあ。
見た記憶がないけど、
この映画にまつわる事件はよく聞くので
なんか見たような気になってただけで
実際、最初から最後まで見たのはこれが最初かもです。
出演は樋口可南子、緒形拳、片岡鶴太郎、蟹江敬三、
陣内孝則、内田裕也、ジョー山中、三木のり平など。
観た感想としては、
まあ、こんなもんなのかなあってとこですかね。
やっぱり勝新さんが歳とりすぎてるっていうのが
まず思うことだなあ。
セリフがもごもご言ってて
何を言ってるのかいまいちよくわからない。
殺陣は体に座頭市の動きがしみついてて
動きを覚えているからなのか
見れる感じにはなってたけども、
やっぱり昔の若いときにやってた市を
そのままやってるのが、ちょっと無理ありましたね。
老いた座頭市を見せてくれたら
おもしろかったと思うんだけど、
そういうアイディアはなかったのかな?
アイディアマンの勝新太郎だから
老人でヨボヨボしてる座頭市にしようとか
あったんじゃないのかとか思ったけど。
樋口可南子と混浴し始めて
いきなりそのまま風呂でやり始めたのには苦笑い。
どういう流れなのか、よくわからない。
この座頭市、話がよくわからないんだよなあ。
唐突に場面転換するし。
テーマっていうかさ。
それもよくわかんなかった。
母がテーマになってたけど、
それを座頭市のアクションとして
見せれてないんだよなあ。
ただ宿場町のヤクザと見回り役の役人を斬っただけ
って感じになっちゃってて
それが市にとってやらなきゃいけない
重大な意味をもつことっていう感じになってなかった。
身寄りのない子供たちの面倒見る
草野とよ実の中に自身の母と母性の面影をみて
彼女を救うためにってことなんだろうけど、
どうもなあ。
まあ、どうなんだろ。
時代劇のお約束、座頭市のお約束シーンは
ちゃんとあってよかったけどね。
賭場で市が大勝ちするシーンとかね。
ヤクザ側の用心棒、緒形拳と心の交流を深めたけど
最後、やりあうことになるとかね。
まあ、あまりにあっさりと緒形拳がやられてしまって
どうかと思ったけども。
音楽が英語の歌でなんかすごく違和感があったなあ。
プログレロックみたいな伴奏に
熱くシャウトする英語の歌詞の歌が流れてきて
これはどうなんだろと。
時代劇にジャズを使ったりとか
そういうミスマッチに見えて実は親和性が高いみたいなのが
あるけども、これはあんまりマッチしてなかったと思う。
陣内孝則の権力の座に居続けたために
何でもできるという狂気が行き過ぎて
おかしくなったやつ演技とか、
内田裕也の生きるか死ぬかというときに
小判を腹にためこむがめついやつ演技とか、
なかなかよかったとこもありました。
奥村雄大の演技はデビューゆえの硬さを感じるもので
うまさはなかったけど
フレッシュさはあったのでなかなかよかった。
まあ、どうなんだろ。
なかなかいいところはあるんだけど、
どの登場人物もゲスト出演風に
ちょこちょこと出てくる感じになってて
一本芯が通ってない感じに見えちゃったなあ。
草野とよ実の初々しさもよかったけど、
それが物語にしっくりとはまってない気がした。
出演者はいいのがそろってるけど
それが物語として生き生きしてないっていうかなあ。
真剣がまぎれこんでいて死亡事故が起きたというのを考えるに
相当、現場は混乱しててバタバタしてたんだろね。
あれなんすかね。
勝新太郎のアドリブによる即興演技、
その場での即興演出というスタイルが完成した映画に
一貫性みたいなものがない要因になってるってこともあるんすかね。
やっぱその現場での思いつきとか
ひらめきとかを重視するスタイルは
映画には向かないのかなあ。
そういうのは舞台だとその場の空気が重要だから
うまくいくスタイルなのかもしれないけど
映画は静的なものって思うので
その場のノリよりも
あらかじめどれだけ準備するかが重要で
撮影現場での思いつきとかは
むしろ邪魔だったりするのかな。
勝さんといえば、黒澤明の「影武者」は
降板せずに出演してほしかったっすね。
役者に徹した勝新太郎を黒澤明監督が演出する影武者。
絶対見たかったなあ。
鋼板の顛末は、勝新が確認のためにビデオで自分の演技を
撮影したいと黒澤明に言ったら
そんなことすんなと怒られて、そのまま仲たがいで降板だったっけ。
いやいや、何よそれ?って感じだけどなあ。
勝新さんが役者に徹して
監督に身を任せるってわけにはいかなかったんすかねえ。
DVDレンタル:座頭市 REMASTER