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『美しき諍い女(いさかいめ)(原題:THE BEAUTIFUL TROUBLEMAKER/LA BELLE NOISEUSE)』を観たんだ【映画】


長い!
3時間47分もある。
無料動画のGYAO!で見始めて
1時間半ぐらいたってもまだ終わらないなと
時間のバーのところを見たら
まだまだ全然で、3時間以上もある映画って
そこで気が付きました。
これって劇場公開したのかな?
したんだろうけど、みんなちゃんと見たんだろか。
4時間近くの映画を映画館で見た経験ないなあ。
中間ぐらいに第2部と区切りが入ってたから
10分ぐらいトイレ休憩が入ったのかな。
1991年のフランス映画。
監督はジャック・リヴェット。
出演はミシェル・ピコリ、ジェーン・バーキン、
エマニュエル・ベアール。
画家とモデルの関係性みたいな話ですかね。
芸術の話。
ミシェル・ピコリが画家でその妻がジェーン・バーキン。
けっこう売れてる画家なんすよね。
かつてジェーン・バーキンをモデルに美しき諍い女という
絵を描いていたが
途中で頓挫して未完のままになっていた。
友人の画商が若い画家とその恋人を紹介する。
若い画家の恋人がエマニュエル・ベアール。
老画家はエマニュエル・ベアールに
インスピレーションを得たのか、
ベアールをモデルに再び絵を完成させようとする。
その間にいろいろあるみたいな。
いや、そんないろいろはないですかね。
エマニュエル・ベアールをモデルにして
絵を描いてる描写がけっこう丹念に描かれます。
この映画は時間をあんまりジャンプしない。
じっくり製作過程を見せていく。
俳優じゃなくて
本当の画家が描いてるんだと思うんすけど、
手とキャンバスだけ写して
実際に絵を描いていくのを
編集なしで長回しで見せていきます。
最初はまず気ままにスケッチブックにデッサン。
カリカリとペンを走らせる音だけが
アトリエに響く。
そしてヌードのエマニュエル・ベアールに
様々なポーズをとらせていく。
これがモデルと画家の濃密空間ってやつかあ。
画家にじっと見られて、
あなたはこういう人間だというのが
キャンバスの上に描かれていく。
モデルは自分が丸裸にされていくような感覚になる。
まあ、体は裸なんすけど
精神的にも裸にされてるというかね。
画家のほうもモデルの真に迫っていこうと
冷静な目で奥の奥まで覗こうとしていく。
ひとつの対象として、物体としてモデルを
分析していくことになるわけで、
そこに自分の感情は入り込まない。
かつてジェーン・バーキンをモデルにして
完成できなかったのは、
ジェーン・バーキンを愛してしまったので
冷静な目で彼女を見て
それをキャンバスに表現するのが
つらくなったからというのが
あるんでしょうね。
モデルから諍い女としての要素を
引っ張り出してキャンバスにのせなきゃいけない。
愛してる人間にそういうことできないみたいな。
芸術よりも一人の女性を愛するほうをとったのかな。
ジェーン・バーキンは夫が若いモデルにして
自分をモデルにして完成しなかった作品を
作り出したことに複雑な気持ちをもってます。
未完のまま放置していたキャンバスの上に
新たに描いてるのを見つけて
なんかちょっとさびしいみたいな。
絵の自分の顔のところを塗りつぶされて
上書きされてることに
私は過去の人になってしまうのかという不安を感じる。
完成した絵を見たエマニュエル・ベアールは
私はこういうふうに見えているのかと
突きつけられてちょっと怒り気味。
モデルをすることは
最初、恋人にはめられたとわかって
乗り気じゃなかったけど
最後はのめりこんでやってた。
逆にモデルのほうが画家を
コントロールしてるみたいな状態にすらなってました。
画家の手によって分析、解体、表現されていくことの
快感みたいなものがあるんだろね。
それが出来上がりを見たら
内面を見透かされたようなもので
ちょっとショックをうけるみたいな。
その完成品は観客には見せてくれません。
ちらっとキャンバスの端の部分が見えるだけ。
画家はその作品を壁の裏にかくして
レンガでふたをしてしまう。
そして画商には別の絵を公開する。
これもどういう心理なのか。
芸術家のすることはよくわからんというかなんというか。
とにかく長い。
その長さも、この映画はこういう時間の流れ方をするもんだと
思うことができたら、たいして苦痛ではないです。
まあ、そう思えなかったら
すごく苦痛だと思うけど。
まあ、でもなんか面白かったですけどね。
芸術の話と人間関係の話がごっちゃになって
いろんな感情が渦巻いてるのが感じられたので。

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