なかなかシリアスだけどコメディですね。
上品で深刻で真面目なブラックコメディ。
2015年、フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督作品。
紛争地帯で援助活動する人たちのドラマです。
出演者がベニチオ・デル・トロ、
ティム・ロビンス、オルガ・キュリレンコらと
豪華な顔ぶれ。
正直、このメンツが出てなかったら、
あんまり見ようとは思わなかったですね。
地味だからなあ、話も内容も。
舞台が舞台だけに、
命の危険がすぐそこにある状況なんすよ。
停戦和平に向かってるとはいえ、
武装兵がそこらじゅうにうろうろしてるし、
牛の死体を道に放置して地雷を仕掛けてるトラップがあるし、
派手に射ち合いとかはないけども、
まだ落ち着いてない状況。
そんな中、ベニチオの所属する国境なき水と衛生管理団は、
井戸に死体が投げ込まれて
水が使えなくこまってる村に向かって
死体をロープでくくり車で引っ張って
取り除こうとするのだけど、
ロープが切れてしまう。
新しいロープを探しにあちこち行くんすけど、
雑貨屋のおやじはなぜかロープを売ってくれない。
旗を掲げてるロープをちょっと貸してくれといっても
旗をおろしたら負けだからできない。
どうも、井戸に死体を投げ込んだのは、
井戸をダメにして、そこで水を売って儲けようとする
地元の輩がやってたことのようなんすよ。
井戸がダメなあいだに法外な値段で水を売るやからたち。
ロープどっかないかってやってるときに
知り合ったサッカーボール少年が
うちにロープあるっていうから
長い間戻ってない家に行ってみると
吊られた死体があってみたいな。
うわー、みたいな。
新人は、井戸の死体にびっくり、
さらに吊られた死体にびっくりです。
でも、ロープ見つかったな、あれは十分長さもあるしって
その死体のロープをベニチオ・デル・トロはゲットします。
あとはなんだ、基地に帰ろうと思ったら途中で兵士が
道路封鎖してて何を言っても通れなかったり、
元彼女が派遣されてきて一緒になって気まずい感じになったり、
牛地雷で足止めされて牛飼いのおばさんの後をついていって
通り抜けたりなどなどいろいろありまして、
やっと新しいロープで井戸の死体を引き上げていたら、
途中で国連軍がやってきて
ここの死体は動かせない、
通達で住民たちの議会で承認されないと
なんにもできないことになってるからといって
ロープを切ってしまう。
ベニチオ・デル・トロたちは、今までの苦労がなんでこんな
しょうもない書類上の形式ばったことで無にされるんだと
あきれてしまう。
今、目の前で井戸が使えなくて困ってる人たちを
助けることができるのに
それをやっちゃいけないという不条理。
ちぇっなんだよってなるんだけど、
最後、大雨が降ってきてその雨で井戸が満水になって
死体が浮いてきて住民たちが簡単に取り出せるというオチです。
いやー、なんか洒落てますね。
原題が「A Perfect Day」っていうのが、なるほどねえと。
一生懸命やったことがしょうもないことで無駄になって
ひどい一日で雨もふって、
パーフェクトでもなんでもない日なんすけど
結果オーライ、井戸の死体は取り出せた。
素晴らしい日だねみたいな。
皮肉がきいてるね。
まあ、でもあんま面白いっていうもんでもなかったかな。
紛争地帯、戦争ものだからなんかすごいサスペンスとか
感動のドラマみたいなのを期待したら
肩透かしになると思います。
いろいろ頑張ったけど、
それとは関係ないとこで
結果オーライになりましたっていうだけの話なので。
とくにこれといって見どころみたいなのもないので。
まあ、人生もこの映画みたいなもんだなあとか思いますね。
頑張ってやったことが実を結ぶとは限らないし、
自分とは関係ないところの力でうまくいったりいかなかったり。
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