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『濡れた二人』を観たんだ【映画】



人生の魔が差す年齢ってことかな。
1968年の大映映画。
若尾文子、北大路欣也出演、
増村保造監督のラブロマンスもの。
原作は笹沢左操の「喪失の女」
若尾文子は都会暮らしの人妻です。
夫の高橋悦史はテレビマンで忙しく働いて
妻の若尾文子の相手をする時間がない。
いつも仕事仕事で
約束の旅行もいけそうにないとかもう
私プンプンなんだから
一人で旅行行っちゃうわよと若尾文子は出かけます。
田舎の漁港町に一人旅です。
そこで出会うのが北大路欣也です。
漁師やってる若者。
真っ黒に日焼けして荒々しい海の男って感じ。
灰汁が強すぎる見た目です。
夫がくるとかこないとか
すれ違いをしてるうちに
若尾文子は北大路欣也と関係をもってしまう。
最初は夫が来てくれるのを心待ちにしてて、
北大路欣也のことは
田舎の子供ぐらいにしか思ってないのだが、
猛烈に迫ってくる北大路欣也の若者パワーと
なかなか来てくれない夫への不満から
一線を越えてしまうのであった。
船の上で結ばれる二人。
若尾文子が裸になるシーンとかあるんすけど、
胸が見えるところは若尾文子じゃないですね。
ボディダブル使ってました。
北大路欣也は俺と結婚してくれとかのぼせあがってるし、
若尾文子もまんざらでもない感じで
夫と離婚して北大路欣也と一緒になってもいいみたいな
感じになってるんすよ。
夫が迎えに来たけど若尾文子は帰らずです。
最初は帰るつもりで、
夫と一緒にバス停でバス待ってるんだけど、
北大路欣也がバイクですれすれを走り抜けたり
周りをぐるぐる走行したりと
怒りをバイクでしつこく表現。
その北大路欣也の行動に
胸打たれて残ることにする若尾文子。
これはもしや二人は一緒にこのままなるのかなと
思わせるのだけど、そうは簡単にいかないもんです。
北大路欣也の父親は激怒。
許嫁の若い事務員も激怒。
北大路欣也のオヤジが言うセリフがすごい。
今は綺麗かもしれないが
5年もたてばしわくちゃのババアだぞ、
都会の女なんか着飾って厚化粧でごまかしてる化け物だ、
他の男と結婚したお古で満足できるってのか、
などなど若尾文子のことをくそみそにけなす。
若尾文子は32歳の設定だったかな。
三十路越えの人妻をまるで産廃扱いです。
北大路欣也は25歳設定だったっけ。
今じゃ30代なんて若造扱いだし
7歳差のカップルも、離婚経験者も
大したことじゃない雰囲気があるけどね。
まあでも田舎じゃ今でもアウトなのかも。
オヤジにあんな年増お古女と一緒になって
家を出てこの先どうやって食っていくんだと言われて
少し冷静になった北大路欣也は、やっぱ無理ってなる。
土砂降りの中、若尾文子の部屋に忍んでいこうと
様子をうかがうけど部屋の中には行けない。
北大路欣也が来てることを察した若尾文子は
裸になって誘うのだけど
北大路欣也は若尾文子のことは好きだけど、
好きなだけじゃ生きてけないから
無理ってなって帰るわけ。
それで若尾文子は村を去ることになるんすけど、
そこに夫から、離婚届をおくるという電報が届く。
夫との都会での結婚生活も失い、
漁村での若者との恋も失い、
すべてを失った若尾文子だが
すがすがしく、
もうすぐ冬が来るわねえっと黄昏るのであった。
何もかも失ったけど、
悲しくもなく、後悔もないみたいな。
なんか魔が差すってことありますよねみたいな話ですかね。
夫が相手してくれないとモヤモヤから始まり
若さみなぎる青年から熱烈に求められてドキドキがあり
夫と帰るつもりがやっぱり残ってからの
結局、どっちもなくすエンド。
心に隙間風ふいて魔が差したことでえらいことなったけども、
ここからが一人での再出発だみたいな。
だからあんまり悲壮感ないのかな。
まあ、若尾文子だったらいくらでも再出発できそうだから
大したことに見えないのかな。

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