もう愛がない夫婦の一日。
1961年、ミケランジェロ・アントニオーニ監督、
イタリアのモノクロ映画。
無料動画のGYAO!でやってたのを鑑賞。
たんたんとある夫婦の1日を描写してる感じなので。
作家のマルチェロ・マストヤンニと
その妻ジャンヌ・モローが
入院している友人のお見舞いに行くところから始まります。
それからサイン会にいくマルチェロ・マストヤンニのシーンや
町をぶらつくジャンヌ・モローのシーンがあって、
夕方になって夫婦でバーに行って、
夜はお金持ちのパーティーに顔出して
夜が明けて二人は
もうすでに愛はなく一緒にはいられないと知るみたいな。
最後で感情が爆発するまで、
二人とも表面上は普段通りにやってます。
もう愛してないし、愛されてもいないという現実を
認めるのが怖くて仕方がないみたいな感じです。
だからなんでもない、いつも通りのことだという
ふりを一生懸命しようとする。
でも、やっぱりだめだと。
そういうじりじりとした雰囲気が続くので
一見、退屈だなあと思っちゃうわけ。
でもいろいろとショックな出来事は起きてますけどね。
入院してる友人は末期でもう助かる見込みがない。
昔、ジャンヌ・モローとも仲良しで
ちょっといい感じにもなったりしたけども、
ジャンヌ・モローはマルチェロ・マストヤンニを
愛して結婚していた。
昔は作家の妻としての暮らし、
マルチェロ・マストヤンニへの愛に
疑いもなかったのに今、
彼女は夫への愛に不安を感じている。
死にそうな友人っていうのは、
そういう彼女の気持ちのメタファーですかね。
いまにも壊れそうな二人の愛を
死期が迫る友人という形にしてる。
今はベッドで寝ていて具合が悪くても
見舞いに来た友人にシャンパンをだして
いつも通り元気に見せようとするけども
いつ消えてもおかしくない、命の灯は。
それと同じでジャンヌ・モローの
夫への愛はいつ消えてもおかしくないのです。
マルチェロ・マストヤンニは作家で
けっこう有名で人気もあるけど
最近は書けなくなってる。
それでなのか、浮気をしてしまう。
見舞いに行った病院で、友人の病室の隣かなんかに
変な女が患者でいるんすけど、
色情狂かなんかですかね、
見るからに危なそうな女なんすけど
ちょっと若くて美人なので
マルチェロ・マストヤンニは
女のアタックを本気で振り払おうとせずに
キスとかもしてしまう。
俺はどうかしてるって自分でも思ってる。
あと、夜のパーティーで若い女と意気投合して
そうなっちゃうんすけど
そこの金持ちの娘だったりとかするわけ。
ジャンヌ・モローも浮気でもしてやろうかと思って
声かけてきた男と一線超えようとするけどできない。
夫をもう愛してないはずなのに。
浮気もできない、夫とも一緒にいれないと。
まあ、それで病院に電話して友人の死を知る。
二人の愛の決定的な死を感じたジャンヌ・モローは
夫に別れを告げる。
ジャンヌ・モローが手紙を読み上げるんすよ。
内容は熱烈な愛のラブレター。
それは誰の手紙なんだい?って
マルチェロ・マストヤンニが聞くんすけど、
これはあなたがくれた手紙よって
ジャンヌ・モローが答えたときの
もうこれは終わりだなっていう空気がね、たまらない。
二人の愛は終わっているというのを
これでもかと思い知らされる。
かつて妻を猛烈に愛した自分の気持ちを
完全に忘れて覚えていない。
これは決定的ですね。
動画:夜