小劇場で帰り支度していた演出家のマチュー・アマルリック。そこに飛び込んできたのはエマニュエル・セニエ。オーディションの時間に遅れてしまったけど、今からオーディションしてくれというわけ。
マチュー・アマルリックはエマニュエル・セニエがそれほど美人でもないし、年食ってるし下品な感じだしで、興味をそそられないので帰ろうとするんだけどセニエの泣き落としで、オーディションをすることになる。
なはは、泣く女に弱い男です。女の涙でなぜか無理を承知してしまう男が、物語ではたびたび登場するけど、実際どうですかね。泣いてる女なんて実際いると鬱陶しくてその場に捨てていきたくなるけどね。
演目はマゾッホの小説「毛皮を着たヴィーナス」にインスパイアされたSM要素のある劇で、セニエは衣装や毛皮に見立てたマフラーなどを持ち込んでノリノリです。
セニエが主役を演じてマチュー・アマルリックが相手役のセリフを言う形式で、演技を見始めるんだけど、これはなかなかいいぞってなって、マチュー・アマルリックもノリノリになっていくみたいな話。
エマニュエル・セニエは台本がぼろぼろになるまで読み込んでセリフを全部覚えてきてて、劇の内容も深く理解している。役作りも完璧。
いったい何者なのか……。演出家はどんどん彼女のペースに引き込まれていきます。まあ、そういう興味をひくような出だしなので、面白そうに感じたんだけど、ずっと二人芝居が続くだけなので、さすがに飽きちゃったなあ。
二人の関係が最初は男のほうが上だったのに、どんどん逆転していって、最後は女の思うままに男が征服されてしまうっていう流れは、うまいけどなあ。
なんか大人の映画っていうかね。さすがロマン・ポランスキーだねって言いだがる人向けかなあ。
DMM動画:毛皮のヴィーナス