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市川崑x石坂浩二、セルフリメイク『犬神家の一族(2006)』【映画のネタバレ感想】横溝正史ミステリ


市川崑x石坂浩二コンビの横溝正史もの

いやー、無料動画のGYAO!でやってたので、久しぶりに犬神家の一族を見てみましたよ。市川崑監督、石坂浩二、松嶋菜々子出演。2006年の作品。最近の映画みたいな気がするけど、14年も前なんだなあ。時間が経つのが早くて怖い。あれ最近のやつだって思ってて、調べたら10年ぐらい前だったりすることが普通にあるのが怖い。金田一耕助ものって、犯人わかってても何回でも見れるんだよなあ。犯人が誰か、犯行はどのように行われたのか、という部分はまったく重要じゃない。

観察者としての探偵金田一耕助

探偵の金田一耕助の存在もいなくてもいいような感じなんです。名推理という感じでもないんだよ。むしろ何もしてないような気がする。事件を途中で食い止めることがまったくできない探偵、金田一耕助。犯人は犯行をやりきり、自害までする。金田一耕助何してたん?みたいな。まあ、こうだから何度でも見れるんだろね。犯人わかってても、事件の内容知ってても、何度でも楽しめる。これが衝撃の犯人、衝撃の手口があとか、金田一耕助の冴え渡る推理が炸裂とか、そういう部分が重要な作りだったら、何度も見返せないんじゃないすかね。事件云々じゃなくて、ムード、雰囲気がいいんだよね。莫大な遺産をめぐり、過去の因縁が浮かび上がり、陰惨な事件がおきるっていうのがいいのであるね。いやー、何回か見てるんだけど、今回も楽しめたなあ。

1976年版の残像が嫌でも浮かび上がるが……

市川崑監督の犬神家の一族は、1976年版と2006年版があって、今回のは2006年版。これがまたすごい変な感覚に陥る映画なんすよ。見始めると、1976年版よりかなり年食って武田鉄矢みたいになってる石坂浩二金田一耕助が出てくる。うわー、年取ってるなあみたいな。1976年版とくらべてどうかっていうのが最初気になるわけです。1976年版でやってたシーンを忠実に2006年版でも同じようにやってるもんだから、なんだか金田一耕助コントをしてるように見えてしまう。1976年版の影がちらついて、2006年版が偽物のように感じてしまう違和感が、最初のほうは続きます。坂口良子が深田恭子になってて、うーん、とぼけた感じは同じなんだけど、深キョンはなんか違うなあとか。よーし、わかった!の加藤武もすごいおじいちゃんでなんだか危なっかしいなとか。そんな感じの違和感が続くんだけど、だんだん気にならなくなってきます。1976年の影を追わずに、これはこれだなって感じになってきます。そうなると、面白く見れるんすよ。

2006年版も見どころはある

富司純子、松坂慶子、萬田久子の三姉妹もこれはこれでいいなっていうか、こういうもんだなみたいな感じになってきて、面白くなってくる。1976年版のインパクトが強いから、どうしても残像がダブって見えちゃうから、2006年版はいまいちに思えちゃうけど、1976年版とくらべなければこれはこれで面白いもんでした。1976年版を見てない人のほうが、すんなり楽しめるかも。おもしろいシーンがけっこう盛りだくさんですよね。石坂浩二が走り回るシーンもあるんだけど、年取ってるのに、無理やり頑張って走ってる感がおもしろい。奥菜恵と松嶋菜々子のシーンで、二人の身長差が凄すぎて笑ってしまう。奥菜恵が子供にしか見えない。奥菜恵を見下ろす松嶋菜々子。奥菜恵が松嶋菜々子に噛み付いてあれこれ脅しみたいなこというシーンなのに、映像は、松嶋菜々子が奥菜恵を見下ろして威圧してるように見える。あとはいろんなゲスト出演者がいっぱい出てるとこが見どころかな。三谷幸喜、林家木久蔵、中村玉緒とか出てます。

金田一耕助の魅力が作品の魅力になる

なぜか呼ばれて犬神家のいざこざをそばで観察して、家系図なんか書いたりして、何も解決しないけど、旅立ちをみんなから惜しまれるほど、好かれる金田一耕助。金田一さんがいてくれて助かりましたよって中村敦夫が言ってましたが、たいして助かってないような気がしたよ。最後、見送りの会をしようと松嶋菜々子らが集まってくる。永澤俊矢演じる猿蔵はお花をもってきてあの人のこと忘れられないとワイルドな見た目に似合わないポエムなこというし、深田恭子は一番うまい料理は生卵って言われたりしたのに、卵をお土産にともってくる。みんな金田一耕助が大好きなのだ。だが、金田一耕助は見送られるのが嫌だと、さっさと一人で行っちゃう。事件が終わればもうそこにいる必要もない。金田一耕助は事件の観察者なので、一つ所にじっとしない。次の事件を目指してまた出発ってことなんすかね。

受け継がれる金田一耕助

未だに若手俳優が金田一耕助を演じて、横溝正史ミステリーは続いてますね。映画はどうだか、最近やってないみたいだけど、テレビドラマではやってるみたいですね。ジャニーズの人がやることが多いのかな。古くは片岡千恵蔵、高倉健、中尾彬、古谷一行、鹿賀丈史、渥美清などいろいろな俳優が金田一耕助を演じています。かわったところだと、三船敏郎もやってんすよ。これだけいろんな人が演じているのに、金田一耕助の印象はあまり強くない。あの扮装やモジャモジャ頭とか、ビジュアル的な印象はなんとなくあるけど、性格やどんな人物なのかという部分はあまり思い浮かびません。同じ探偵でも、シャーロック・ホームズとはかなり違いますね。ホームズはアクが強い。推理もすごいし。金田一耕助は推理するというより、ほんとに立会者という意味合いが強いキャラクターになってるんですよねえ。だからこそ、いろんな役者が演じてもいいキャラクターで、未だに続いているでしょうね。

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