江戸川乱歩風怪奇ムードミステリー
溝端淳平VS鳥肌実。ミステリーサスペンスなんすけど、よくわかんなかった。無料動画のGYAO!でやってたので見てみました。キム・フィ監督、コ・ス、キム・ジュヒョク、パク・ソンウン、ムン・ソングン、イム・ファヨン出演の2017年韓国映画です。
バリンジャーの「歯と爪」が原作
江戸川乱歩の世界みたいな雰囲気で映像はなかなか良かったです。主人公のマジシャン役のコ・スが溝端淳平っぽいのと、悪役のキム・ジュヒョクが鳥肌実っぽかったなあっていうのが印象に残った。
話のほうはオチも早くから想像つくような感じで、いまいち面白みがなかったですね。原作がビル・S・バリンジャーのミステリー小説「歯と爪」らしいんすけど、どうもミステリーとしてもいまいちのような気がした。雰囲気勝負っていうかね。
舞台は1947年ソウル
1947年のソウルが舞台になってるので、なんかちょうど江戸川乱歩っぽい雰囲気なんすよ。戦後の薄暗いドサクサの中で展開するあやしげな事件って感じで雰囲気が盛り上がります。
指だけが遺留品で死体なき殺人事件の裁判とか乱歩でもありそうだし、主人公が奇術師っていうのも乱歩みたいじゃん。映画の作りは異なる時間軸の描写が交互に展開していく感じになってます。
人差し指だけが遺留品として残された殺人事件の裁判シーンの話と、マジシャンの青年が偽札の銅板をめぐる陰謀に巻き込まれていく話が交互に描かれます。裁判が未来で、銅板をめぐる事件のほうが過去。なので映画がすすむにつれて、どうしてこういう裁判になったのか、誰が被告でだれがこうなることをたくらんだのかっていうのが明らかになっていきます。
復讐の物語
まあ、復讐っていうことっすよねえ。ただ殺すのは生ぬるい。裁判にかけて公に犯罪者として裁かれて刑に処すという復讐の方法を選んだってわけです。
まあ、それを時間かけて描いてあるんだけど、そんなにサスペンスは持続しなかったです。最初の30分ぐらいでもうだれてきたし。ヘンテコな日本語をしゃべる日本人という設定の人たちが出てきて、なんか笑えて苦笑いって感じなので飽きずには見れたんですけどね。
日本人役の日本語が微妙だが
日本語セリフを言うんだけど、どの役者もなんか発声がか細くなるのはなんでなんだろ。韓国語をしゃべってるときは、野太い感じで力強い声なのに、日本語になるとみんな甲高いか細い喋り方になるんだよなあ。
やっぱあれかな。セリフとしてちゃんと言わなきゃっていうのが先にくるから置きにいった感じの弱弱しい喋り方になっちゃって変な発声になっちゃうのかな。まあ、戦後すぐの韓国だから、暗躍してる日本人もいっぱいいただろうっていうことで、日本人を出したんだろうけど役者は韓国の人たちだからちょっときつかったですね。
怪奇ムードはよかった
うーん、やっぱいまいちだったなあ。舞台設定や映像の古めかしい感じ、偽札とか手品とか何かありそうなあやしげなアイテムたちはいいんだけど、肝心のトリックがさほど効いてないのでどうなんだろなあっていうね。
あれでどうやって有罪になるのか、いまいちよくわからなかった。そもそも死体もないし、状況証拠だけでどうやって起訴して裁判になったんだろっていう感じなんだよなあ。法廷シーンに面白みがあんまないです。
なんかクリストファー・ノーランの「プレステージ」を思い起こしたなあ。あれも古い感じの時代設定で奇術師がなんかするミステリーじゃなかったっけ?全然覚えてないけど、あれもトリックがいまいちでどうなんかなっていうやつじゃなかったっけ。
まあ、ミステリーでもトリックを楽しむ系じゃないんだろね、こういうのは。主人公が愛した女は、はたして本当に彼を愛してくれていたのか、それとも偽りの愛を見せていただけなのか。
その答えの手紙は読まず、真相をあえて知らず、主人公の記憶の中では彼女への愛は本物、それに彼女も答えてくれたのだということにする。マジシャンの主人公が自分自身にイリュージョンを仕掛けたっていうことかな。なんだかしんみりする話ですね。
DMM動画:復讐のトリック