待つ男裕次郎。石原裕次郎が浅丘ルリ子が来るのを待つ映画ですね。日活ムード歌謡ドラマ。石原裕次郎と浅丘ルリ子はいい仲になってんだけど、浅丘ルリ子は兄貴分の女なんすよ。石原裕次郎はヤクザ役です。ヤクザっていってもオシャレです。ボートネックのニット着たり、首にスカーフ巻いてたりと、シャレオツな新世代ヤクザ。兄貴役は水戸黄門で風車の弥七やってた中谷一郎。刑務所に入ってる兄貴の女とできてしまうなんて、ヤクザの仁義にそむく行為。
石原裕次郎は後ろめたくて仕方ない。でも愛しちゃったから引くこともできない。明日、兄貴が出所だどうしようっていうところに、仲間の名古屋章が二人の関係を知り脅してきたのを返り討ちで撃ってしまう。
ここは私が何とかするから、ここで待っててと浅丘ルリ子は石原裕次郎にハガキを渡してその女のとこへ行くように送り出す。住所は函館。その女性を探すと浅丘ルリ子瓜二つです。妹だったってわけ。まあ、それで浅丘ルリ子が来るのを石原裕次郎が待つわけ。電報が妹のとこに届いてもうすぐ来るみたいなんだけど、いつ来るんだろう、まだかなまだかなって最終列車、飛行機の最終便を迎えにいくんだけど、浅丘ルリ子は乗ってなくてしょぼーん。
なかなか浅丘ルリ子はやってこない。浅丘ルリ子は何かまずいことになって死んでしまったのか、それとも俺との愛は嘘っぱちで、はなから一緒に逃げる気がなかっただけなのか。待ち人来ずで思い悩む裕次郎でありました。
妹が電話してみたら、兄貴が出て、浅丘ルリ子は兄貴と一緒にいて自分のことなんか忘れててしまったうように感じた裕次郎は、気持ちが荒れます。函館の地元のヤクザの賭場で派手な勝負をやって、組長をボコボコにしたりします。
それでついに浅丘ルリ子がやってくる。女が自分を追ってきてくれるのを待ちに待っていた。恋焦がれた浅丘ルリ子が来たというのに、心が晴れない石原裕次郎。
というのも兄貴も函館に来ているらしいとわかったからです。兄貴に申し訳ない。浅丘ルリ子を信じていいのか。思い悩む裕次郎。悩んでるんすよねえ、この映画の石原裕次郎は最初から最後まで。
兄貴に悪いことしたっていう感じで、ずっとうじうじしてるし。浅丘ルリ子の愛を心から信用できない自分にうじうじ。気持ちのいいタフガイ役のイメージが強い石原裕次郎ですけど、こういう悩みにはまってはっきりしない男の役もたくさんやってんすね。
浅丘ルリ子は二役やってて、堅気の地味な妹とヤクザの情婦で男たちの間をふらふらする姉という正反対の役をやってるので、ヘアスタイルや衣装の雰囲気の違う浅丘ルリ子を楽しめます。
浅丘ルリ子の一人二役といえば、「銀座の恋の物語」もそうでしたっけ。一人二役っていうのはありふれた陳腐な手のような気がするけど、同じ姿をした別人っていうだけで、なんだかドラマチックに見えちゃうからいい設定だよね。