ハンサムといえば草刈正雄
ハンサム、二枚目といえば草刈正雄。いやー、年がばれますね。草刈正雄がハンサムの代名詞だったのは大昔だからなあ。70年代、80年代ですかね、ハンサムとしての全盛期は。草刈正雄が芸能界入りのきっかけから現在までの仕事や印象的な出会いや転機となった出来事について語ったエッセイ本です。プライベートの面も語ってるけど、役者人生の紆余曲折についてがほとんどの内容です。近年、60歳こえてから大河ドラマ「真田丸」や朝ドラ「なつぞら」で味のある役を演じてブレイクしてるらしいけど、そのへんのことはまったく大河とか見てないのでわからないんすけど、草刈正雄といえば「復活の日」やそのへんの時代の映画の草刈正雄が印象に残ってます。北九州市小倉北区から上京してモデルとして資生堂のMG5のCMに起用されて話題になり、20歳代で数々の名監督の映画に主演。80年代にはいって角川映画の超大作「復活の日」で主演をやるまでになる。十代後半から20代、30代とあれよあれよとスターになっていく。まあ、交通事故を起こしてもう仕事をやめて小倉に帰るしかないかっていう危機の時期もあったらしいんすけど、それを乗り越えてのスター街道。熱いですよねえ。見た目の良さで、何も後ろ盾もコネも金もない若者が成りあがっていく。もうね、大藪春彦のピカレスク小説そのものじゃないすか。のちに「汚れた英雄」で主演もやってますしね。若いときってそうとうとんがってたんすかね。当時の自分をふりかえって、そうとう調子に乗ってたとふりかえってますし、奥さんとなる人が草刈正雄と共演したとき、偉そうな人で絶対いやだって第一印象で思ったという話もでてきます。まあ、調子にはのりますよねえ。小倉で母親と二人で四畳半一間暮らし。父親はアメリカ軍人で母親がいうには朝鮮戦争で戦死していない。写真も処分されてて顔も見たことがない。今の暮らしから飛び出したいという欲求が高まっていって、バーのマスターの紹介でモデルの道に入って、東京行ってモデルや役者として成功して思い描いていたことが実現していく。そりゃあ調子にものりますよねえ。シンデレラボーイっていうかさ。20代の草刈正雄の容姿は、ほんとわかりやすいハンサムというか、ぱっとみて誰でも二枚目って思っちゃうような感じだもんな。素材としてすごい。いろんな人が使ってみたい、こんなことやらしたいって思う容姿してんもんなあ。「卑弥呼」とかにも出てましたねえ、そういえば。どう演じていいのかわからず、現場で怒られっぱなしで大変だったとか。もともと劇団とか養成所で演技を勉強したわけじゃないから、演技についていろいろ悩んだみたいです。その後、40歳代、役者としていまいちな停滞期になって主役もへって2番手3番手となっていく時代があるんすけど、また新たな出会いがあって舞台の仕事に活路を見出していく。若尾文子さんと共演したときに、舞台をすすめられてそこから舞台の仕事も本格的にやりだしたそうです。それで三谷幸喜の舞台にでて大河ドラマへとつながっていく。そして今またコミカルな役やバラエティ番組で新たな一面を開拓していっている。芸能生活50年をむかえて、なお新しい草刈正雄を見つけていってるってわけですね。何度も転機となることや人との出会いがあって役者を続けている。巻末に年譜がのってて年齢と主な出演作品がリストアップされてるんすけど、やっぱ20歳代、30歳代、1970年代、80年代の濃さが印象的ですね。「復活の日」って28歳のときだったんだ。加山雄三の若大将シリーズを三代目若大将として草刈正雄がやってたっていうのは知らなかったなあ。「がんばれ! 若大将」で三代目若大将として主演って、二代目もおったんかい。50年もやってたら、もうたいがいのことやってんだろなあ。膨大な映画ドラマ舞台に出演してるけど、これといって当たり役みたいなのはないのが以外だなあ。なんかありましたっけ。シリーズでずっとやってるみたいな役。草刈正雄って役者っていうより、ハンサムって感じなんすよねえ。職業ハンサムみたいな。無機質なマネキン人形っぽいイメージっていうかな。やってほしい役は悪役ですかねえ。SFホラー映画で、血の通ってない機械人形みたいな役をやったらすごく怖くてはまりそう。そういうのやってみてほしいですね。