冒頭の30分ぐらいが、海兵隊新兵の訓練シーン。中盤からベトナムでのシーンになって、最後、狙撃兵との銃撃戦のシーンがあって終わりです。
訓練シーンってこんなに長かったんだ。記憶ではこんなに長くはなかったんだけど、けっこうな長さありますね。訓練シーンだけで1本の映画みたいに見れる。
オチもちゃんとついてるし、十分満足したっていうか、ここだけで終わっていいじゃないかみたいな気がした。後半、そんなに面白くないし、訓練シーンが一番面白い。
ほほえみデブ、なんちゅう顔してんだ、やつは。ニヤニヤ顔がいい味だしてるわあ。トイレシーンの顔も、なんだあれ。
シャイニングのジャック・ニコルソンかみたいな表情してて、怖いんだあ。軍隊、軍人がどういうものかっていうのを、一人の新兵が壊れていく姿を通して描いていく。
徹底的にしごかれて娑婆っけを抜かれて、軍隊のルールを叩き込まれていく。人殺しを躊躇なくできる戦闘マシーンを作るための訓練。
個人としての人格を壊して、そこに兵士としての人格を埋め込む。教官の罵倒の文言、罵詈雑言のセンスがいいですよねえ。そびえたつクソとか、現代アートの醜さとか、ボキャブラリーが豊富でおもしろいっすよねえ。
ハートマン軍曹でしたっけ。演じてるR・リー・アーメイって役者じゃなくて軍人で、アドバイザーとして軍曹役に演技指導してたけど、
いい味出してるから指導じゃなくて出演したらってことになって出演したらしいっていう話聞いたことあるけど、確かに自然な感じがしましたね。わざとらしさというか、演技っぽさがなくてリアルな鬼軍曹ぶりだった。ドーナツシーンも最高だなあ。腕立てふせさせられてる仲間たちの中で直立不動でドーナツをかじるほほ笑みデブ。どんな味がするんだろ、あの状況で食べるドーナツ。ドーナツのCMになるな、あのシーン。
ランニングシーンは、ファミコンウォーズが出ーるぞ~っ、こいつはどえらいシミュレーション!って脳内変換しちゃうのは、年だなあ。
石鹸をタオルで巻いて簡易ブラックジャックを作ってほほ笑みデブをぶったたくイジメシーンとか怖いし。
フルメタル・ジャケットってこんな感じで訓練シーンのことばっかり印象に残っちゃうんだよなあ。ベトナム行ってからのシーンはあんま記憶に残らない。
なんだろ。逃げるやつはベトコンだ、逃げないやつはよく訓練されたベトコンだとか、女子供をよく撃てるなって聞かれて、ああ、あいつらのろまだから撃ちやすいって答えるとことかは印象に残るけど、前半の訓練シーンの密度の高さにくらべると弱いですね。
まあ、スナイパーのすごさっていうのがよくわかるのが後半ですね。一人の腕のいい狙撃兵がいれば、小隊が足止めされてしまう。狙撃手というのがいかに戦場で力をもつのかっていうね。
しかも、スナイパーを仕留めてみたら、子供なんすよねえ。子供っていうのは言い過ぎか。若い女でしたっけ。
そして最後はミッキーマウスマーチで戦場は狂ったワンダーランドだって感じで終わっていく。うーん、やっぱり冒頭の訓練シーンで微笑みデブがライフルで自分の頭を吹っ飛ばしたところが、おもしろさのピークかな。