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鈴木清順、ショーケン、ジュリー『カポネ大いに泣く』【映画のネタバレ感想】


豪華キャストで珍作 清順節炸裂

鈴木清順監督、萩原健一、田中裕子、沢田研二出演となると
なんだか期待できそうだけど、
観終わってみると
やっぱりイマイチなんだよなあみたいな。
1985年の映画。

ノリがギャグマンガ

最初、始まってしばらくの感じ、
そんなに悪くなかったし、嫌いじゃなかったけど、
中盤、後半とだんだん辛く感じてきました。
ギャグマンガみたいなノリが最初おもしろく感じたけどね。
シュール系オフビート系ギャグ漫画みたいで
ああ、こういうノリね、みたいな感じで
けっこうわかるし、面白かったけど
それで2時間やられるとさすがに飽きがきました。

腕白坊主ショーケン、退廃ジュリー

ショーケンはまだまだ元気いっぱいで、
ほっそりしててわんぱく坊主みたいに躍動してます。
まだまだ若さがはじけてる。
やんちゃ坊主なショーケン。
一方ジュリーは若さのピークは過ぎて
中年男になり始めてるジュリーで退廃的なムードを漂わせる。
滅びゆくスーパースターの憂鬱なムードがある。

田中裕子は達者

田中裕子の達者な演技も魅力的だ。
田中裕子っていうのは、やっぱすごいもんですね。
演技がうまいとか下手とかじゃなくて、
人の目をひきつける動きができる人って感じ。
人を引き付ける引力がある演技をする。
動きに迷いがまったくない。
話は昭和初期、浪曲師のショーケンと芸者の田中裕子が
ひょんなことからアメリカに渡り、
サンフランシスコの日本人ボス、峰岸徹にいかさま博打で
負けて田中裕子は女郎にされたり、
ギャングの抗争で峰岸徹が死んで
用心棒の沢田研二が新ボスになって
アル・カポネと抗争したり、
ショーケンが浪曲でブルースメンと競演したり、
現地の女といろいろあったりする話です。
アル・カポネ役はチャック・ウィルソン。
チャック・ウィルソンといっても今の人は
さっぱりぴんと来ないでしょうね。
昔、テレビのバラエティによく出てた外人タレントです。
あとたこ八郎も出てきたなあ。
これも今の人はぴんとこないだろね。
年寄りにはなんだか懐かしい。
出演者、セット、など映像の質感が
なんかね、すべてがマンガ的なノリ。

アメリカだけどアメリカでない

舞台はアメリカだけど、アメリカでは撮影してないですよね。
舞台の書割のようなセットで
アメリカっぽい雰囲気をだしてる。
それがチープでポップなムードを醸し出してて
けっこうよかったです。
でもやっぱりお話がないからつらいものがあります。
原作は梶山季之の小説なんだけど
どんな小説なんだろ。
ショーケン演じる男が異国の地でたくましく生きていく
風雲児ものなのかな。
生命力あふれる型破りな日本男児が
アメリカで大暴れ的なやつですかねえ。
そうだとしたら、ショーケンはなかなかそれっぽくて
いい感じだったように思います。
ショーケンはなかなかいいんですよ。
よかったのはマンガ的な映像とショーケンのわんぱく坊主ぶりぐらい。
浪花節をやるショーケンはラップをしてるショーケンみたいで
けっこう面白かったりします。
これはショーケンの音楽ライブじゃないか!みたいな。
あとなんだかわからないけど
チャップリンの物まねをするショーケンも見れます。

これがカルト映画っていうやつか

出演者はけっこうおもしろい顔ぶれそろってるんだけどなあ。
加藤治子、樹木希林に梅宮辰夫に柄本明に峰岸徹、平田満、阿藤快などなど。
鈴木清順監督の独特な間も悪くない。
マンガみたいなセットもいい。
でもおもしろくない……。
カルト映画としての評価はされると思うけどなあ。
観終わったそばから、どんな内容だったかまったく思い出せない。
どういうラストシーンだったのかさえ
もはや定かではない。
ただ奇妙なものを見たという記憶だけが残る。
DVDレンタル:カポネ大いに泣く

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