イム・サンユン監督、ソ・ジソブ、イ・ミヨン、クァク・ドウォン、イ・ギョンヨン、キム・ドンジュン、オ・ジェム出演。2012年の韓国映画。入社するときは、みんなフレッシュな気持ちで、さあやるぞって感じだったのに、仕事に慣れると毎日が同じことでつまらなくて、仕事に意義が見出せなくて、
中年クライシスで仕事がどうでもよくなって、仕事より大事なものがあるって気がつくけど、気がついたときは会社や仕事を簡単に抜けられるじょうたいじゃなくて、会社をつぶして退社するかこっちが命とられるかの大勝負をしなくちゃいけないっていうね。
まあ、コメディですよねえ、これ。会社や仕事だけの人生に疑問をもった男の話。でも、トーンはハードアクションで描かれてるので面白いです。
内容と映像のシリアス具合の落差がすごくて面白い。主人公が勤めてるのは殺し屋会社。表向きは普通の小さい商社なんすけど、裏では殺しを請け負ってて、主人公は腕利きの殺し屋で出世間違いなしのできる若手。
でもなんか生活にはりがないというか、充実してないんすよねえ。仕事はうまくできるんだけど、それがなんなのかみたいなさめたかんじ。
中堅社員の憂鬱。リタイアした元上司、子供が死んで自暴自棄になる上司、いろんな事情で会社を去っていく先輩たちを見て、主人公も影響をうけたのか、会社の規則に背いたことをやりだす。
使い捨てのバイトを処分せずに生かしておいたりする。そいつの母親が、主人公が子供のころによく聞いてファンだった歌手で、彼女たちとの交流に夢中になって、会社や仕事の規則がおろそかになっていく。
当然、会社側からなにやってんだ、仕事ちゃんとしろって圧力かかってくるんだけど、主人公にとって会社や仕事が全然魅力的に感じなくなってるのでいうことききません。
会社は罰として元歌手の女の人を人質にとったりする。流れ弾でその人死亡で、主人公はプッツンしてしまいます。そして最後は会社と全面戦争。退職届もってきました~って会社の人間と銃撃戦で従業員、同僚、上司、社長全員皆殺し。ふう、やっと仕事辞められるよって安堵してオフィスビルを後にする主人公であった。
最後に、入社試験をうけるために履歴書もって会社に出向く途中で、写真が気に入らなくて、証明写真機で撮り直しをする主人公がぎこちなく笑顔をつくってるシーンが出てきて、ああ、みんな入社するときや仕事に新しくつくときは、
こんなにフレッシュな気持ちだったのに、それが勤めが長くなるうちに、このころのような気持ちがなくなっていく。仕事ってなんだろね。会社ってなんだろね、人生ってなんだろねって思っちゃったなあ。
仕事が嫌でやめて引退生活してた元上司が主人公を裏切って仕事に復帰しようとするとかさ。あるあるですよねえ。あれだけ嫌だった仕事、ブラック企業だとうんざりしてた会社が、やめてしばらく距離をとってみると、またやりたくなったりする。
仕事の中毒性っていうかね。会社という組織に所属することの快楽っていうかね。結局、仕事や会社と人生って切り離せないもんだなあ。
銃撃戦や狭いところでの格闘戦がジェイソン・ボーン系のリアルな感じのアクションで描かれてるので見ごたえありました。
まあ、片手でマシンガン乱射したりしてリアルっていうわけでもなかったけど、スタイリッシュなアクションでいい感じの映像でよかったですよ。
主人公のソ・ジソブは、舟木一夫か山Pかって感じの見た目で、細身のスーツ姿がきまってましたね。いやー、面白いっすね。こういうのけっこう好きなんすよねえ。
普通のヒューマンドラマでやれる話を、別ジャンルに置き換えて描く系。人情ドラマをホラー映画のフォーマットで描く。人情ドラマをアクション映画の形で描く。人情ドラマをSFサスペンスの形で描く。
そうやって描き方を変えると、目先がかわって、よくある見飽きた内容の話も斬新で新鮮に観れるから。
DMM動画:ある会社員