なので激しいバトルになりようがない。流行りのジャンルでよくある、普通の人だと思ってなめてたら元殺し屋とか元傭兵とかでとんでもなく強いやつだったという展開がありそうな設定とストーリーなんだけど、そうなりません。
トム・ベレンジャーは別に凄腕というわけじゃない。普通の鹿狩りをやる年老いたハンターです。そんな彼がある日、鹿と間違えて人を撃ってしまう。若い女。死んだ女を放置してその場を去ってしまうトム・ベレンジャー。
大変なことやっちまった、バレたら終わりだとビクビクだが、死んだ女がニュースでやってたカジノ強奪犯の一人であることを知り、現場にタバコの吸い殻を捨ててきてしまったことを思い出し現場に戻る。
そこには女の死体と強奪した大金の入ったバッグがそのままになっていた。バッグを持ち去ろうとしたそこに強奪犯の他のやつらが戻ってきて、トム・ベレンジャーを追いかけてバトルが始まるって感じです。
なんだけど、映画のトーンは終始静か。クライムサスペンスアクション映画によくあるかちゃかちゃした画面切り替えや、手ブレ映像とか、アクションを盛り上げる派手なBGMとか、そういうのは一切ありません。
トム・ベレンジャーが逃げるのもトボトボと歩いて逃げるし、銃を撃つシーンも派手さはありません。枯れた味わい。トム・ベレンジャー走れません。
なんだろな。「ファーゴ」とかそういう感じの雰囲気を狙ってるのかもしれないですね。アクションではなく、老いた男の最後の生き様を見せる感じ。そう考えるとハードボイルドストーリーだとも言えるかな。
まあ、トム・ベレンジャーは全然いい人じゃないですけどね。誤射で人を殺しておいて逃げてますからね。死んだのがカジノ強奪犯だったので、まあ、いいかって感じですけど。現場で偶然居合わせたカフェの知り合いの旦那が人質になったときも救うとかはしない。
実は凄腕という設定なら、狙撃してばったばったと強盗団をやって人質を救うところだけど、じっと息を殺して何もしないトム・ベレンジャー。隠れてほとぼりがさめるまで寝てる。まあ、それで良心の呵責を感じたのか、カフェのウェイトレスの人にお金の隠し場所を知らせてましたね。それが善行かな。
飲酒運転かなんかで子供をなくして、家族を失ったかなんかみたいな過去があるみたいです。人生なにもいいことがなくて、体も病気になって、あとは一人で死のときを待つのみの孤独な老人が最後に意味のあることをしたみたいな。
でもあのお金が無事に彼女のところに行くのか疑問だけどなあ。強奪犯の死体とかトム・ベレンジャーの死体とか燃えた車とかあったら、あのへん一帯を捜索とかされるだろうし。それとも雪深いから捜査とかされないのかな?