横溝正史のミステリーみたいな感じですね。原作は坂口安吾なんだ。坂口安吾にミステリーっていうイメージなかったけど、ミステリも書いてるんですね。なんか青空文庫で無料で読めるみたいだから読んで映画と比べてみるのも一興か。
この映画はミステリィとしてどうかというより、登場人物のキャラの濃さがおもしろいところですね。殺人の動機とか方法とかはイマイチというかよくわかんないし、誰が殺されたのかもよくわからなかったり、曖昧な描き方で眠くなってくる。
というか寝るでしょう。館に集められた意味もよくわからないし、誰が死んだのかもよくわからないし、何がどうなってどういう理由でみんな館に留まってるのかもわからない。集中して見てなかったからなのか、物語の筋がいっこうにはっきりとしないです。
田村高廣が家系図を手にあれこれ説明するシーンもあるんだけど、まったく何がなんだかわからない。説明が下手というかなんというか。横溝正史原作の金田一耕助ものはうまく人間関係を説明してくれて見やすいのに、この映画はまったく見づらいのです。
探偵役の小坂一也が最後に説明するんだけど、これも長いだけでまったく見てられない。ミステリーの解答編なのに見る気にならないってよっぽどですよ。
なのでミステリとしてはどうにもならない感じだけど、とにかく登場人物たちのキャラが濃いところがいいところです。
内田裕也の暴れっぷり。画家だっけ?よく覚えてないけど、館に集められたやつらは作家とか芸術家とかアーティストばっかりだったような。まあ、狂犬のようないつもの内田裕也です。いつものというか、裕也さんといえばこんな感じというのを裏切らない感じ。
あとは変質者の医者とかね。あの医者はいったいなんだったのか。俺は偉い、高貴なものでこんなゲスな村人たちとは違うんだという高慢ちきな態度で、診察にかこつけていたずらするような変質者って、キャラ濃過ぎ。
足が不自由で引きずって歩くという設定もあって濃いなあ。しかも喋り方がめちゃくちゃうざい。ムキーッってヒステリー起こしたりもするし、すげえ怪しい変わり者なんだけど別に重要人物というわけでもなく、犯人でもない。
観客にこのひと犯人かもと思わせるためのただのおとり役。
夏純子のセクシー担当もミステリーとして意味がよくわからないのでなんだかなあでしたし。けっこうキャストはいろんな人が出ててる。あれ?北斗の拳のラオウの声がするなあって思ったら、ラオウの声をやっている内海賢二が役者として出演してました。
宮下順子とか岡本麗、殿山泰司、伊佐山ひろ子など。けっこう知ってる顔がいたなあ。まあ、でもけっこうきつかったですけどね。どうもミステリーの整理というか、事件が起きてどうなるかみたいな緊張感がまったくないのがね。
なにがいけなかったのかなあ。どこがダメなのかよくわからないけどダメだった。