ロスト・バケーション
サメ映画。メキシコの秘密の浜辺でサーフィンしてた主人公がサメに襲われて孤軍奮闘サバイバルする話でした。無料動画のGYAO!でやってたので観てみたんすけど、けっこうおもしろかったですね。主演はブレイク・ライヴリー。ジャウマ・コレット=セラ監督による2016年の作品。スマホやアクションカメラの映像をうまく画面に表示させてるのが、今っぽいなあって感じしました。
サーフィンやってるときに、サメに噛まれて、干潮のときに浮かび上がってくる岩場に避難して、どうにか傷の応急処置とか助けをよぼうとかして、翌日、満潮が近づいてきて岩場も水没してきて、サメと最終対決でサバイバルみたいな単純な話。
舞台もあちこち移動しない。ずっと海。出演者もほとんどいないくて、ほぼ、ブレイク・ライヴリーの一人芝居です。独り言ブツブツ言ってるだけ。
それじゃあ、画面が寂しくてもたないって思ったのか、相棒にカモメが登場します。ずっとカモメがそばにいるんすよ。カモメも怪我してて飛べなくなってる。傷ついた仲間っていうかね。
ブレイク・ライヴリーも親しげにカモメに話しかけたり、羽の脱臼を治療してあげたり、カニを咀嚼しておげえ~ってはいたのをカモメがおいしそうに食べたりします。カモメもすげえなついてるんすよ。それがおもしろかったですね。サメに襲われてピンチに陥った人間とカモメのコンビ。鮫に襲われてどう生き残るのかっていう単純な話なんすけど、ブレイク・ライヴリーの人間造形がけっこう凝ってました。その秘密のビーチになんで来たのかというと、母親がかつて訪れた場所だったから。
その母親は病気かなんかで死んでしまった。ブレイク・ライヴリーは医者を目指して医学生やってたんすけど、医学は母親を救えないと落ち込んでて、医者の道をあきらめようと消沈してる。
おセンチな傷心旅行中ってわけです。そこでサメに襲われて死にかける。なんとかサバイバルしようともがく。何度ももうだめだとあきらめかけるんだけど、そのたびに気持ちを奮い立たせてもがく。
そしてサメに打ち勝つわけです。これは母親を失ったことによる絶望に打ち勝つっていうことをサメに勝つっていうことで表現してるわけ。鮫が死や絶望のメタファーになってる。そんな感じなので、けっこうちゃんと作ってあるなあって感じしました。
ただのシャークスリラーにしなくて、サメとの闘い、サメに勝つ、生き残るっていうことに、ちゃんと意味付けをして物語を作ってる。これはけっこう拾い物だったかもしれないっすねえ。大人になってから、こういう事件事故に巻き込まれて絶体絶命の状態で生き残ろうともがく映画を見てよく思うんすけど、自分だったらどうだろなとかさ。
自分だったらあんなに頑張れないなあ。すぐ諦めてなんもできずに体が硬直してサメに食われて終わり。でもさ、あんな状況でも戦える人っていうのは、普段から戦ってる人だからだよなあ。
普段からさぼることしか考えずにのんきにダラダラしてる自分みたいなやつは、非常事態になったらなんにもできずに死んでいく。
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