増村保造監督、岸田国士原作、1957年の大映映画。病院を舞台にした人間関係のドラマですかねえ。けっこう大きい病院だけど、内情は火の車。余命いくばくもないとわかった院長が、自分がいなくなったあと家族が困らないように病院の財務の立て直しを今まで世話してきた親友の子供、根上淳に依頼する。
その切れ者の若者が病院改革していく中で、病院の内部の腐敗や人間関係を描いていくみたいな感じで話が進んでいきます。院長の家族は、息子の船越英二をはじめ全員のんきな金食い虫の無能者。まあ、金持ちのボンボンたちで、病院の財務がひどいことにも関心がなく、贅沢な今の暮らしを続けることしか興味がない。ボンクラの船越英二にとりいって、病院を食い物にして乗っ取ってやろうと事務長や他の医者は考えてる。そんな中、根上淳は看護師の左幸子が病院の事情通なのでスパイしてもらうことにする。ストーリーはかったるいんだけど、病院の人々のキャラがよかったです。メケメケハモハモ、ばっきゃろーってわけのわからん歌を口ずさむ船越英二。ほんと会社のバカな二代目そのものでおもしろい。一応、整形外科かなんかの医者なんすけど、仕事なんかまったく真面目にやらない。遊ぶことと浪費することしか頭にない。妹の野添ひとみがめちゃ可愛かったなあ。髪をアップにしてるので首から襟足のラインがよく見えて、なんとも美しい。キャラも病院の娘でお嬢さんなので、話し方とかお嬢な感じでこれもいいんだよなあ。見た目も性格も最高。左幸子はサイコなんすよ。なんか怖い。やたらとフハハハハハって笑うんすけど、なんか怖いんすよ。どういう人なんだかよくわからない。ずーっとハイテンションで、ヒロポンでもきめてるのかと思った。恋に浮かれるとこんな感じにハイになっちゃうのかな。君と僕とは同類だからスパイを頼むといわれて、なぜかウキウキ上機嫌。根上淳のスパイをやってくうちに、根上淳を熱烈に愛していく。目に狂気の光が宿ってます。それで最後は根上淳をちゃんと手に入れてしまう。愛の力ってすごいというか怖いですね。根上淳が野添ひとみを選ばずに左幸子を選ぶ。なんてこった。まあ、タイミングが重要なんだろね。返事がもうちょっと早かったら、あの出来事が先だったら、また違った結末になってたわけで。あと、驚いたのが、美輪明宏氏が出てきたこと。王子様ルックで女性をお供にシャンソンを歌う丸山明宏氏。けっこうたっぷり歌います。若いなあ。映画観るなら<U-NEXT>DVD:暖流