1959年の映画です。
オールスターキャストってやつかな。
出演は高橋貞二、佐田啓二、大木実、
小山明子、岡田茉莉子、高千穂ひづる、
小坂一也、高峰三枝子、三宅邦子、
桑野みゆきなどなど。
これだけ主演クラスの男優と女優が
たくさん出てきたら
それぞれ見せ場を作るのに相当苦労しただろうなあ。
監督は番匠義彰。
聞いたことない監督だなあ。
松竹でプログラムピクチャーを撮ってた監督みたいですね。
プログラムピクチャーってそのとき
観客を楽しませて終わりで次次次って感じに
量産されていったから
あとあとふりかえって見直されることがないんすよねえ。
だからプログラム・ピクチャーを
たくさん監督してた監督って
後世に名前がまったく残んない。
何かの賞をとるか、風変わりな作風で
カルト的人気を博すとかしないと
時の流れに埋もれていってしまう。
中身はオムニバスドラマ。
なんてことないファミリードラマですね。
年寄り3人三羽烏と
中年三羽烏の3人と
若者三羽烏の3人の男たちと
その妻や恋人、女たちとのドラマ。
探偵の高橋貞二と煎餅屋の看板娘の小山明子。
新聞記者の佐田啓二とテレビディレクターの岡田茉莉子。
佐分利信と高峰三枝子。
大木実は山キチガイで
奥さんの高千穂ひづるに愛想つかされ気味。
家出中の新興宗教団体の跡継ぎの桑野みゆきの
捜索を探偵の高橋貞二や
新聞記者の佐田啓二がやることになるけど
桑野みゆきはひょんなことから
佐野周二の煎餅屋に住み込みで働くことになって
意外と近くにいてみたいな。
それぞれの人間関係とドラマが
交差していく感じに描かれてます。
昔の東京の風景と
袖振り合うも他生の縁ってな感じのドラマには
ほっこりしますね。
山登りしてみんなで歌うたったりするんだ。
若者は自転車こいで
サイクリングサイクリングヤッホーってなもんです。
探偵社に勤めてる高橋貞二なんか
煎餅屋の二階に間借りしてて
家賃滞納し続けてるとかさ。
ちゃんとした勤め人ですら、
長屋暮らしで家賃や生活費に困って
今月どうしようかなんてやってんのが
実に生活感があっていいんだなあ。
なんかみんな泥臭い。
佐分利信たちの年代はけっこう金もってんだよ。
若いとき景気良かった世代なんだろね。
ゆっくり隠居生活でもしよかってな感じ。
佐田啓二世代はかつかつ。
それよりも下の桑野みゆき世代は
かつかつどころか
どう身を立てていくか見えなくて未来に
不安しかないけど若さと元気があるから
歌でもうたってりゃそれで幸せだみたいな。
異なる3世代のドラマが描かれていて
けっこうおもしろかったですね。