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史上最大、最後の相場師、是川銀蔵をモデルにした相場小説『最後の相場師/津本陽』【読書】

最後の相場師 是川銀蔵

やっぱ、何か大きなことを成し遂げる人っていうのは、体が異常に頑健じゃないとダメなんだなって思ったね。

史上最大、最後の相場師、是川銀蔵をモデルに津本陽が書いた相場小説です。日本セメント、同和鉱業、住友金属鉱山の3つの仕手戦が描かれます。日本セメントでは勝利、同和鉱業では巨額の含み益から破産寸前までいって引き分け?、住友金属鉱山では大勝利って感じですかね。

小説だけど、実際の相場にも参考になりそうなことがいっぱいありましたね。まあ、巨額をつぎ込んで株を買い占めて自分の動きで株価が変動するような大相場をはる人と、しょぼい金額で右往左往してる個人投資家が同じようにできるかいなって感じではありますが、相場に臨む心構え的なことが参考になりますね。

日本セメント仕手戦

日本セメントを買おうと決めたのは、別に普通の人が知ることのできない秘密情報を得たからでもなんでもなくて、マクロ経済の流れを見て、

近いうちにセメント需要が回復するから、そのとき恩恵をうける日本セメントの業績も回復するので株価が上がるとみたから。

新聞やラジオでだれもが知りえる情報から銘柄を選んだ。業績もぱっとしない、株価も低迷、だれもがボロ株扱いで見向きもしないときに、先を読んで買い集めていく。

バリュー投資みたいです。めちゃめちゃ孤独で怖い戦いですけども、それができる強さがあるんすよねえ。このとき79歳とか80歳とかですよ。どこまでタフなんだと。
目論見通りに株価が上昇。うまく売り抜けに成功して10億円以上の利益を得る。次は銅に着目。銅の価格が下落して安値をつけていて、それが回復すると読んで鉱山銘柄に投資することにする。

同和鉱業仕手戦

自山鉱をもつ同和鉱業に着目して買っていって、目論見通りに銅価格が上昇して同和鉱業株も注目されてあがっていくんすけど、欲をかいて売り場を逃してしまう。

このままいけば100億円だ200億円だという熱気にのまれちゃって、売り時をのがしちゃう。めちゃくちゃ大量に株を買うので、普通に売れない。自分の売りで暴落しちゃうから。

なので株価が上昇して買い手が大量にいるうちに売り抜けないといけないんすけど、まだ上がるとみて売らなかったら下落しだして、出来高もなくなって売るにも売れなくなってしまう。

信用取引で買って、その株を担保にまた信用で買ってみたいなのをやってるから、いったん下落し始めたら損失が雪だるま式に増えてしまう。だから上昇ムードのうちに手仕舞わなければならないんすけど、難しいんだなあこれが。

それで証券会社に儲けなしの価格で買い取ってもらってなんとか敗戦処理。売り時ってほんとわかんないっすよね。リスクとってわざわざ株なんか買ってるんだから、利益は最大にのばしたい。

どこまでも伸ばしたいけど、どこまであがるかなんてわからないわけで。いくらなんでも上がりすぎだろっていうところから、2段3段とあがっていくこともあるし、まだまだいけるだろうって売らなかったら、簡単に下落していって、ああ、あそこが逃げ場だったんだっていうこともある。
これでもう相場はいいって感じになるのかと思いきや、すぐに住友金属鉱山です。

住友金属鉱山仕手戦

住友金属鉱山所有の金山で有望な金脈が見つかったという新聞記事を見て現地にとび、これは脈ありと判断し、住友金属鉱山株を買い占めていく。

ボーリング調査でいい数値がでたっていうだけで、これはいけると読んで実際に行動する。読みは正しく株価は高騰していく。途中、やばいことになってこれは同和鉱業のときの再現かと思われたけど、持ち直して最終的に200億円近い利益を手にして勝利。なかなかおもしろかったです。

相場で勝つにはとにかくタフであること

相場で生き残るには、やっぱりなんといってもタフであることですね。戦争を中国で餓死しかけながらも生き延びて、日本で数々の事業をおこしつぶし、土地転がしで成功した資金をもとに相場を張る。

どんだけ元気なんだ。生命力がなみじゃない。小手先のテクニックや手法うんぬんよりも、まずなによりも精神的にも肉体的にもタフであることですね。ちょっと失敗して落ち込んでるようなメンタルじゃだめなんだなあ。

そのうえで、誰もが知りえる情報からでも、自分なりに先の展望を描ける頭脳と、誰も動いてない状態から一人で行動できる行動力がないと相場で利益を手にできないなと。恐怖、孤独、不安に押しつぶされない耐性がないと相場に立ち向かえない。

何億円とか何百億円とかじゃなくて、投資で数万円を稼ぐにしても同じような気がします。リスクの中に飛び込まなければ相場で小銭も稼げない。これがほんとに心理的に難しい。

凡人は損すること、間違うことにたいする恐怖感がむちゃくちゃ強くて、少額だけ、ちょっとだけ買ってみるとか売ってみるということにすら、足がすくんでしまう。

まあ、それが普通の人間の感覚なのかもしれないけどね。

相場師や投機家はそのへんのネジが最初から壊れてるのかもしれないなあ。そう考えると才能なんすかねえ、相場師って。

技術とか鍛錬とかでどうにかなるもんじゃないのかな。ジェシー・リバモアとか何百億円とか稼ぐ相場師にあこがれるけど、最後は破産して野垂れ死にしてる人も多いし、普通じゃないんだろね。

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