中学生ぐらいのときにミステリー小説にはまる時期があると思うけど、クリスティの小説で3本読むとしたらこれ入りますね。あとはなんだろ、「オリエント急行の殺人」と「アクロイド殺し」かな。
10人はお互い顔見知りでもなんでもなく共通点がなさそうなんすけど、過去に罪をおかしていると謎の人物が吹き込んだであろうレコードの再生によって暴露される。それで一人また一人死んでいく。
死ぬごとに飾ってある10体のインディアン人形が同じように減っていく。童謡にインディアンが一人ずつ死んでいくというものがあるらしいんだけど、なんでこんな不吉な歌があるのかな?ほんとにある歌なのか、この小説用にクリスティが作った歌なのか。
10人いたインディアンが一人ずつ消えていく。それがなんかエグい。ただどっか行くだけでいなくなるとか首を折って死ぬとかまさかりで頭割って死ぬとか銃で撃たれてとかなんの脈絡もなくただ人数が減っていって最後に誰もいなくなるっていうだけ。
なんか怖くないすか?なんの目的でこんな歌があるのかよくわからない。不気味すぎる。歌の不気味さをうまく生かした物語でうまいもんですね。
最初は変なことあるもんだとあまり気にしてなかった招待客たちなんすけど、どんどん死んでいくから犯人探しに躍起になります。素人推理と疑心暗鬼。あれがあやしいと思うなんでもあやしく思えてくる。
まあ、それでなすすべもなくどんどん死んでいきます。で、最後なんすけど、原作小説とは変えてあります。小説では犯人が計画を完遂してどんより終わったけど、この映画のラストは犯人の裏をかいて生き残る人がいるという終わり方になっています。
うーん、このラストは他人を信じるということが、犯人が作り出した不安や恐怖に打ち勝ったということなのかな。それとも男女の恋、愛が不安に打ち勝ったということなのか。
確か原作では人は罪の意識からは逃れられないっていうのが強調されてたけど、この映画ではそのへんはあんまり詳しく描かれないですね。それぞれの罪についての描写がほとんどないので、罪の意識で追い込まれていくという雰囲気がないです。
原作では最後に残ったやつが、罪の意識に耐えられなくなって吊るされた縄を見て自ら首吊り自殺するっていうラストだったと思う。違ったっけ?犯人は判事で計画を完遂したっていう感じじゃなかったかな。違ったっけ。
読んだのがかなり昔だから覚えてないなあ。久しぶりにクリスティでも読んでみるかな。今読んでも楽しめるもんなのかなあ。年とるとさ、細かい設定にケチつけたくなって素直に楽しめなくなってくる。
映画とかでもさ、よくあるじゃん。この設定はおかしいとか、ここでこのひとがこうするのはおかしいとか、なんであそこでこうしないのかとか、細かいどうでもいいことにケチつけるおじさんとかおばさん。
そこはまあ、どうでもいいじゃん、映画だし、作り物だしって軽い気持ちになれなくなってくる。年取るとエンタメや娯楽を楽しみにくくなっちゃうんだよなあ。