渇き
「オールドボーイ」のパク・チャヌク監督、2009年カンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞した作品です。
出演はソン・ガンホ、キム・オクビン。なんかフランスの映画みたいな雰囲気がありましたね。
無料動画のGYAO!でやってたので観てみました。
あれなんだっけ?「デリカテッセン」とか「ロスト・チルドレン」のフランスの監督って。
ジャン=ピエール・ジュネか。あれみたいな雰囲気がどことなくあったなあ。
まあ、韓国映画おなじみのこってりしたグロ描写がところどころありましたが、
どことなくオシャレ感がある映像になってて、そこはよかったです。
ストーリーはSFっていうか、ファンタジーっていうか、おとぎ話っていうかね。
そんな感じです。
大筋としては、神父さんが人体実験に志願して、ウィルスを輸血されて、
死んだと思ったら死んでなくて吸血鬼になってしまって、
虐げられて暮らす人妻と出会ってあれこれあるって感じです。
謎の人体実験です。
あれはいったいなんなのか?
謎のウィルスの治療法を見つけるための実験ってことなのかなあ。
あの世界では新型コロナウィルスみたいなのが流行ってるっていうことなのかな。
そのへんの描写がそんなに詳しくないので、よくわかりません。
実験に参加したいんですって言って
外国の研究所にいってそこで実験生活に入ってましたが、
なんなのか最初よくわかりませんでした。
ソン・ガンホは神父なので自己犠牲の精神が強い人っていうことを見せるための設定かな。
この映画、よくわからないまま話がけっこう進んでいきます。
何映画なのかいまいち焦点があってなくてわからないというか。
吸血鬼になってしまった神父のソン・ガンホの苦悩の話にしたいっぽいけど、
そんなにうまくはできてなかった。
場面転換が唐突でぶつ切れな感じでお話がつながってないような気がしました。
前半はソン・ガンホが吸血鬼になる話。
中盤は虐げられている人妻キム・オクビンとの恋愛ストーリー。
後半は血みどろサスペンスです。
吸血鬼となったキム・オクビンが開放感にひたって
無茶やるのをソン・ガンホが止めようとするけど止まらず、
血なまぐさい事件になっていく。
最後は朝日を浴びて黒焦げになって消滅する道をソン・ガンホは選ぶ。
キム・オクビンが抵抗していろいろするんだけど、
ソン・ガンホが全部邪魔するのが笑えます。
車のトランクに入ってやり過ごそうとすると、
トランクの蓋をもぎとって捨ててしまうとかね。
車の下に入ってやり過ごそうとすると車を動かしてしまう。
あれこれ抵抗してみても、もうだめだとなったキム・オクビンはあきらめて
二人の出会いのきっかけだった革靴を履いてそのまま朝日を浴びる。
なんかメルヘンチックな最後ですね。
まあ、二人で仲良く吸血鬼として暮らしていけばいいのにって思ったけど、
やっぱり彼は根っからの神父で大真面目な人間だったということなのかな。
ぬれるっていうのがわからなかったぐらいなので。
欲望をおさえこんで、犠牲精神をもって生きていた彼が
バンパイアになって血を欲するという欲望の快楽の虜となって
仲間までできたわけだけど、
やっぱり吸血鬼として人間を殺したり無理やり血をすする生き方はできない。
自分がキム・オクビンを吸血鬼にしてしまったことへ責任をとるために
最後、まわりになんもない荒野まで車を走らせて朝日を浴びて
彼女もろとも消滅することにしたわけですかねえ。
真面目すぎ。
うーん、でも車椅子の盲目の人を殺してたけどあれはいいのかな。
虐げられていた人妻も、
子供の頃から嫁になるために育てられて、
一生、この義母と息子と一緒なのかと思うと絶望的になって
ソン・ガンホに夫を殺させるように仕向けるというちょっと悪い人なので
どうもなあ。
吸血鬼になって開放的になって車襲って血を吸ったり、
人を殺すのにまったく抵抗なかったりするようになるんだけど、
もともとこの人そんなにいい人じゃないっぽいって思っちゃったから
吸血鬼になる前とあとでの変化にドラマがあんまり感じられなかった。
まあ、そんな感じでちぐはぐさが目立つ映画でしたね。
映像がいいし、役者の演技も面白いので見れるんだけどね。
息子が死んだショックでおかしくなったお母さんが目だけで
あれこれ演技するのとかヒッチコックのサスペンスみたいで良かったしね。
まあでも、お話がバラバラに感じるのでおもしろさとしてはいまいちだったです。
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