北の螢
胸をはだけて髪の毛振り乱して大声出してりゃ熱演になるのかって、冷めたこという人もいるけども、女優がそうすることで場がもって、映画として成立するときもありますね。
五社英雄監督の映画って、そこが見どころみたいなとこあるし。男と女の情念のドラマだけど、主役は女だね、いつも。無料動画のGYAO!でやってたので見てみました。今作の舞台は明治の北海道開拓時代。囚人をこき使って道路を作ってたんだっけ?
仲代達矢が刑務所所長で、囚人たちを強制労働させてる。そこに訳あり女の岩下志麻が来てあれこれ起きるみたいな話。
囚人とその女たちのドラマであります。仲代達矢は囚人たちを束ねるだけあって豪傑です。刺客に襲われて目が見えなくなってもまるで見えてるみたいです。
マンガに出てくる剣豪みたいなやつだな。実際に誰かモデルとなる人物がいるのかな?
部下の成田三樹夫、囚人のリーダー露口茂、役人の丹波哲郎、囚人Aの佐藤浩市など男性陣も濃い面々がそろってるんだけど、やっぱり女優たちの濃さにはかなわない。
まあ、岩下志麻姐さんは、全然脱がないで着物着たままアハーンウフーンってもだえるだけなんだけど、早乙女愛や夏木マリは裸をさらして鬼気迫る演技を見せてました。
脱げばいいっていうもんでもないけども、裸であることをまったく意識せずに男との情事に没頭する演技、雪の中で着替える演技とかそういうのを見せられると、普通にいいねって思っちゃいますね。
なりふり構ってない感じっていうのが、伝わってきて演技をこえた熱を感じる。熱演じゃなくて、ただの熱気。それだけでなんか画面がもってるもんなあ。
雪の中で寒そうなのに、人間の熱気むんむんって感じで、なぜかそんなに寒そうに見えないのだった。そんな感じで人間の熱はよかったんだけど、最後のほうで出てきた熊でどっちらけ。
あの熊はなんなんだろう。笑っちゃったよ。もろに着ぐるみなんすよ、クマが。あれってもうちょっとましな着ぐるみ用意できなかったんだろうか。
体形と動きがまるっきり人間なので、おいおいおいって感じです。着ぐるみじゃなくて、本物の熊をそれらしく撮るとかできなかったのかなあ。
あれでOKなのか、監督は。
あの熊でなんか白けちゃったなあ。全部吹っ飛んだじゃった。雪景色のムードある映像と女たちのど根性演技の熱気が全部熊にもってかれてしまった。
クマのインパクトがすごくて、最後どういう終わり方だったのか、全然思い出せない。結局最後どうなったんだっけ。
仲代達矢は囚人を解放してたような。岩下志麻はどうなったんだっけ。あんまり内容を覚えてない。雪が降る映像に森進一の歌が流れてたのは、おぼえてる。森進一と雪国って合うね。
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