見えてる目撃者。
監督森淳一、主演吉岡里穂、
2019年のサスペンススリラー映画です。
いやー、けっこうおもしろいとこもあったけど、
ちょいちょい、それどういうこと?っていう
おかしなとこがあって、
後半に入ってからおかしさが爆発。
特に最後の館でのバトルなんか
笑いがこみあげてくるほどでした。
これは笑わせようとしてる!っていうシーンが
わんさかわんさかで、笑ってしまう。
グロいのにクスッとしちゃう。
盲目の主人公が猟奇殺人犯のアジトで
戦うっていう超危なくてシリアスなシーンのはずが
笑いをさそうコメディになってしまってる。
あの犯人のキャラ、
韓国映画でよく出てくるキャラだなって
思ったんすけど、
この映画が韓国映画のリメイクらしいですね。
やたらと格闘技が強い猟奇的な危ない殺人者って
韓国映画でよく見かけます。
ラストバトルの雰囲気、テイストが韓国映画っぽいのは
そのへん原作リスペクトなのかな。
いやー、なかなかいい感じだなっていうとこも
いっぱいあったんすけど、
やっぱりこれどうなん?ってツッコミいれたくなるところが
どうしてもいいとこを上回ります。
でも、確信犯で笑わせようとしてるような気もする。
真犯人に気づいた人が
一人で会いに行ってやられるという定番のあれ。
刑事が応援を待たずに
一人でアジトに乗り込んでいって
あっさりと返り討ちにあう定番のあれ。
犯人に追跡されてまいたと思ったら
まいてなかった定番のあれ。
よくある定番シーンが教科書どおりに出てきて
なんだか笑ってしまう。
いや、そこまで疑いが確信になってるんなら、
一人で行くなよってツッコミいれたくなるっていうか
ツッコミ待ちだろこれ。
トランクに乗せてるといわれて
すぐに信じる田口トモロヲに、
嘘だろ、何やってんだと苦笑い。
田口うしろ!うしろ!って。
なぜ危ないやつに簡単に背中を見せるのか。
定年後は小料理屋でもやろうと思っていたが
おまえのような悪人がいるから
再任官して刑事やめないことにしたとかなんとか
めっちゃかっこいいこと言ってましたけど
行動がめちゃくちゃ。
刑事が正義の味方ってとこを見せてやるって
乗り込んでいった刑事が
犯人のナタ攻撃を手をおさえてしのぐかとみせて
そのまま力業で頭にナタをめりこませられて絶命とか
絶対笑わせようとしてるし。
この映画の演出というか、見せ方が
ひどいけど笑えてしまうっていう方向になってんすよ。
死体とか切り取られた部位とか
グロイのをけっこうしっかり見せるので
怖くてシリアスなムードにはなるんだけど
すぐに笑えるシーンが出てきて
真面目な雰囲気をぶち壊します。
吉岡里帆が地下鉄で犯人から逃げるとき
相棒の男の子にテレビ通話でナビしてもらってたけど
その前に周囲の人に助けをもとめるとか
田口に通報するとかあるんちゃうかなみたいな。
駅に人が全然いなかったのはコロナの影響だろうか。
男の子はスケボー仲間のスマホでも借りて通報とか、
スケボーのって助けにいくとか
すればいいのになあみたいな。
吉岡里帆が、
もう大丈夫って突然なぜか安全を確信するんだけど
そんなわけねえだろって、観客全員突っ込んだと思う。
あの状況でなんで安全って思えるんだよ。
吉岡里帆の行動や言動が唐突で怖い。
精神科通いで薬漬けだからああなのか。
最終館バトルでは間取りを暗記した吉岡里帆が
何度も犯人を手玉に取るのに
犯人を確保しようとせずに
犯人をほったらかして館の捜索に動き回る不可解さ。
どういうことなんだろっていうね。
うーん、吉岡里帆氏の見えない演技もどうかなあ。
見えてないにしては、動きにさぐる動作がなさすぎる。
普通に見えてる人と同じ動きで
見えてない設定があまり意味をなしてない。
地下鉄の長い階段を
見えてても踏み外すんじゃないかっていうぐらいの
猛スピードでなんなくおりていく盲目設定の吉岡里帆。
いくら盲導犬のサポートあっても
初めていく場所の階段をあのスピードで
無事に降りれないっしょ、普通。
そんな感じで動きが全部直線的で
見えてない設定が全然生きてなかった。
まあ、元警察官として優秀で洞察力があって
耳と嗅覚が異常に発達してて
見えてなくても
大体の位置が把握できる人っていう設定なんだろけど。
リメイク元の韓国映画ってどんな感じなんだろ。
同じようなツッコミ待ちな展開が盛りだくさんなんすかねえ。
こういうサスペンス系って、
観客に、これってどういうことなんだろとか
どうしてこれしないのかとか
思わせちゃったらダメですね。
それと一番ダメなのは、
吉岡里帆が主役なのに全然危険な目にあわないとこです。
犯人からしたら、一番目障りな吉岡里帆を
真っ先にどうにかしようとしてくるはずなのに
なぜか吉岡里帆は前半ずっと安全で
シャーロック・ホームズばりの
推理を展開していく。
田口トモロヲが助手かみたいな。
田口トモロヲ人良すぎ。
犯人は凶悪で、なおかつ情報を手にできる人なのに
なぜか厄介な吉岡里帆を野放しにする。
わざわざ目が見えないという不自由な設定にしているのに
その不自由さを打ち消すことばっかりしてて
全然スリルがない。
そこが一番ダメなとこだなあ。
あとダメなのは、
目撃者が吉岡里帆だけじゃないとこもですね。
目の見える男の子も目撃してんすよ。
目の見えない人が
唯一の目撃者じゃないとダメでしょこの話。
まあでもツッコミムービーとしては
優秀で楽しめるので見てみてもいいかもしれません。
動画:見えない目撃者