成島出監督、主演大沢たかお、2007年の邦画。
ちょっといまいちだったなあ。
というのも、アクションサスペンスなお話を
予算がないので無理やり人情ドラマ風にして
作ってあるのです。
ステルス爆撃機、核爆弾、北朝鮮の工作員、
雪山での戦闘、爆弾解除とか
スケールはでかい話なのに、
そのでかいスケールに見合った映像を作るだけの
予算がないのか、アクションシーンは
肝心のところを映さないしょぼい映像になってて
時間も少ないのです。
雪山で自衛隊と工作員が撃ち合いになって
自衛隊がやられるのを映さずに
地面に無線が落ちてそこに血が広がるみたいな映像で
お茶を濁すんだよなあ。
苦笑い。
え～、自衛隊が撃たれる映像すら作れないほど
予算カツカツなのかなとか
余計なことを考えてしまう。
そのかわりに人情ドラマ部分に多くの時間を割いてます。
こういうごまかしはどうなんだろ。
雪山で立ち話するイケメンたちを
なんの工夫もなくただ映してるだけ。
雪山を移動してるのに
動きのある映像がまったくない。
大沢たかおと玉木宏と吉田栄作。
新旧そろったモデル系イケメン俳優たちが
雪山で立ち話してんの。
緊急事態なのに、全然スリルとかハラハラ感がありません。
戦場はひどい、軍隊は人を殺すとかなんとか
棒立ちで熱弁をふるう大沢たかお。
話の途中で悪いが急いでるんだと
吉田栄作に突っ込まれてたのには
笑っちゃったなあ。
そうそう、緊急事態なのに
イケメン3人そろって雪山で立ち話ですかってね。
雪崩とかも起きるんだけど、
その見せ方もどうかと思う。
一人で行くと大沢たかおと別れた玉木宏が
雪崩にあうんだけど、
そのときどっからともなく現れた大沢たかおが
ロープを投げてそれにつかまった玉木宏は
埋まらなくて助かるみたいな描写があるんだけど、
大沢たかおはどこにいたんだよみたいな。
大沢たかおと玉木宏の位置関係がまったくよくわからない。
ロープを投げてそれにつかまったからといって
雪崩に埋まらないってどういうことなんだろみたいな。
細部がどうなってるのか
よくわからない映像がアクションシーンに多いです。
決定的に欠けてるのがスピード感ですね。
全部のシーンが止まってる。
大変なことが進行していて
タイムリミットが迫ってるという
緊迫感がまったくありません。
全部のシーンがゆっくりというか、
時間がとまってるかのようなというか。
たっぷりゆっくり人情ドラマやっちゃってる。
竹内結子が接触する工作員とその彼女との
やりとりもなんだか笑っちゃうんだよなあ。
竹内結子が話かけても話が通じないので
日本語がわからないんじゃないすかと
相棒の男が言うんだけど
わかる？病院、薬は3時間あける、3時間って
日本語で話しかけ続ける竹内結子。
いや、日本語通じないみたいなんだから
そこは英語とか韓国語とかで
話しかけてみないのかと。
工作員の彼女もなぜかまったく喋らない。
竹内結子の名前をカタコトで言ってたので
喋れないわけじゃないと思うんだけど
なぜかずっと無言。
なのに工作員は死に際に日本語で話してたし。
どういう設定なんだろ。
さらわれた工作員と彼女を奪還するシーンも
どういうことなんだよの連続だった。
工作員の注意をひきつけるために
ガソリンをまいて火をつける相棒の兄ちゃん。
工作員にむけて発砲する竹内結子。
ただの雑誌記者が工作員よりも
破壊工作に手慣れてて笑っちゃう。
肝心のアクションシーンをちゃんと細部にこって
作りこめないなら
この映画作らなくてもよかったと思ったけどなあ。
嫁や子供をほっぽりだして
戦場カメラマンしてた大沢たかおを責める竹内結子。
戦場で子供があっさり死んでいくのを見て
心が折れて戦場カメラマンやめちゃった大沢たかお。
そういう描写を時間かけてたっぷりと
やっちゃうんだから、
話にスピード感がまったくありません。
内閣危機管理官役の袴田吉彦が
大真面目にシリアスな顔して演技してたのが
おもしろくてなんか笑っちゃったなあ。
藤竜也演じる総理たちが会議やってるんだけど
そのシーンも、役者たちが大真面目な顔で
危機が迫ってるみたいな深刻ぶった顔演技してたんだけど
見せ方が全然スピード感ないんすよ。
爆弾が起爆するのを
解除コードで止めるとこも
スリルもなんもなし。
最後の終わり方もなんか変すぎた。
日本最大級のビデオオンデマンド＜U-NEXT＞無料トライアル実施中！
大沢たかおが、ここにナパーム弾を落としてくれと要請して
それを承諾する藤竜也。
どういうことなんだみたいな。
子供にたいして、覚えときや、
このおっちゃんが全部悪いんやと
悪役をあえて演じて見せる藤竜也とか
そういう人情ドラマはいいんだけど、
ナパーム弾ですか、
アメリカの潜水艦から発射されたトマホークが
着弾して周囲を焼き尽くした映像はないのです。
全部この調子で、アクションサスペンスの部分の
映像がしょぼすぎる。
それを人情ドラマの部分でカバーしてる。
いやでもさ、肝心のアクションサスペンスの部分が
ちゃんと描けてないんだからいくら
人情ドラマ部分でかんばってもカバーはできないっすよ。
これはステルス戦闘機とか核爆弾とか工作員とかは
全部なしにして、ただの雪山遭難の映画にしたほうが
よかったと思うけどなあ。
アクションサスペンスの要素を全部とりのぞいて
人情ドラマとしての話にしてあったら
けっこういい出来になりそうだと感じました。
やっぱ細部が重要なんだな、映画って。
細部の描写をしっかりやれないと
物語に説得力が生まれないもんですね。
ステルス戦闘機だ、自衛隊だ、ナパーム弾だなんだと
そういう軍事的なものを出してくるんだったら
その描写を細部までしっかりやらないと
映画として見れるものにならないんだなあ。
動画：ミッドナイトイーグル