これって別に正解とかないんじゃないのかな?魔女、祈祷師、悪魔、憑依、毒キノコ、ゾンビ、ネクロマンサー。謎なアイテムが散りばめられたホラー映画っていったらいいのか、不条理ドラマといったらいいのか。ホラーではないような気がしたなあ。怖いシーンやグロテスクなシーンはあるけど、怖がらせようとはしてないような。
宗教的な寓話にも思える。神話やおとぎ話のようでもあります。設定は現代なんだけど、お話は中世を舞台にしても違和感なさそう。奇妙な出来事が起きたとき、人は不安から逃れるために見たいものを見る、事実がどうなのかは関係なくなるみたいな話だと捉えたですね。
平和でのどかな村で奇妙な殺人事件が起きる。村人が発狂して家族を皆殺しにするような凄惨な事件。犯人は正気ではなく犯人自身なぜそうしたのかすらわかってなさそう。キノコの毒にあたって幻覚でも見たのかと最初軽く考えていた警察官。
聞き込みとかすると、村のはずれによくわからない日本人が住んでいて、やつが呪いをかけたんだという噂がでてくる。裸で走り回って動物を食ってるのを見たとかいう話もでてくる。警官が調べると実際、何をしているのかよくわからない日本人が村外れに住んでいます。これを演じてるのが國村隼。
警察官が調べれば調べるほど、どんどんわけがわからなくなります。國村隼は噂されるような悪魔なのか、それともただのおっさんなのか。村人が発狂して殺人に及ぶのは、毒キノコが原因なのか、呪いなのか。
どっちでもあるようでどっちでもなさそうでみたいな。警察官の娘が発狂。祈祷師を雇うと祈祷師はこれは呪いだと断定する。それで呪い返し、殺意の呪いみたいな儀式をやったりします。娘に変な湿疹ができてて言動がおかしくて嫌いなはずの食べ物をバク食い。
キノコにあたってるのかな?みたいな気もするけどはっきりしない。そこに魔女みたいな謎の女もからんでくる。なにがなんだかのまま、状況だけがどんどん悪くなっていく。それがおもしろいですよね。この困難な状況を脱する解決の小さな糸口さえつかめない。絶望感。
祈祷師が突然、おれは間違っていた、國村隼は悪魔じゃなくて村人を守ろうとして祈祷してたんだ。ほんとうの悪魔は女だったとか言い出すんすよ。あ、そうなんだって一瞬思うんだけど、え?ほんとなの?祈祷師の勘違いじゃないのか?みたいな。
これがサスペンス・ホラー・スリラーなら、前半の状況が後半にひっくり返って真実がわかって解決に向かって最後すっきりするっていうことになるんだけど、この映画ではひっくり返ったとおもったらひっくり返ってなくて、ますます混乱していく。
そうは言っても國村隼の言動むちゃくちゃ悪魔みたいなんだけどみたいな。魔女みたいな女も何が目的なのかさっぱりわからず、あやしい行動をとる。
警官は何を信じていいのやら、誰の言うことが正しいのか、自分はどう行動すればいいのか、まったくわからず錯乱状態です。よくわかんないけど、國村隼の祈祷によって死者が動き出してゾンビみたいになって警官たちに襲いかかったりもします。
何?國村隼はネクロマンサーかなんかかな?みたいな。目的はなんなんだみたいな。さっぱりわからない。若い神父だったかな、そいつが國村隼にお前はなんなんだと問いかけるんだけど、國村隼は笑いながら、お前はすでに俺のことを悪魔だと決めつけているのに、答える意味あるのかとか言う。
見るからに悪魔的で悪魔みたいなんすよ。え、なんなの、このひと怖いみたいな。娘が悪魔にとりつかれたようになって、口が悪くなったりするのはエクソシストみたいです。神父とかも出てくるからエクソシストみたいに悪魔祓いになるのかと思いきや、ならない。
あれ?みたいな。毒キノコによるパニック映画になるのかと思いきや、はっきりそうならない。悪魔が呪いをかけててそれに対抗する話かと思いきや、はっきりそうはならない。悪魔祓いの話になっていくのかと思いきやそうならない。
魔女の話かと思いきや、そうでもない。え?ゾンビ?とか思ってると、それで最後になにも解明されない、なにも答えもないまま終わりです。終わりや続きは、見た人がお好きなように想像してねみたいな。
混沌。混乱したまま終わる。
こういう最後、投げっぱなしの終わり方する映画はあまり好きじゃない。やっぱりさ、作り手の意図や意思を感じる終わり方をするほうが気持ちいいじゃないですか。どうとでも解釈できますよっていうのは、余韻はあるけど、なんか弱いじゃないですか。
あー、終わった~っていう区切りを感じてエンディングを噛み締めたい派なので、なんかわからんなっていう終わり方は好きじゃないんすよねえ。でもこの映画がつまんないわけではなく、けっこう楽しめたし面白かったです。