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『私デザイン/石岡瑛子』【読書】映画舞台オペラサーカスオリンピックウェア、アーティストのコラボレーションにより作品が生まれる過程を知ることができる創作日誌



私デザイン/石岡瑛子

映画「MISHIMA」のセット、コッポラの「ドラキュラ」の衣装、

ブロードウェイ舞台「M.バタフライ」、

デヴィッド・カッパーフィールドのマジックショーのセット、

ビョークの「COCOON」ミュージックビデオ、

シルク・ド・ソレイユ「VAREKAI」、オペラ「忠臣蔵」、

ソルトレイク冬季オリンピックのウェアなど

手掛けたデザインがどういう経緯で作られたかがわかるメイキング本です。

デザインが具体的にどうやってできたのかとか、

作品作りの試行錯誤とか、そういう部分は少ないです。

それよりも仕事としての流れ、

ビジネスとしてどういう経緯で誰のつながりでとか

スケジュールがどうだったかとか、

そういう面がよくわかる内容です。

どのようなコラボレーションによって出来上がったのかという

部分に焦点があたった創作日記。

アーティストとしての石岡瑛子が知りたいのなら

他の作品集とかを見たほうがいいかも。

デザインの細部がどう生まれるのかというより、

プロジェクトの全体像を知ることができる。

手掛けたデザインがひとつの事業として動き出して

完成に向かう流れ、その間にあった他の造り手との

せめぎあい、そういうものが描かれている本です。

デザインは作品でありながら、

それ単体で成り立つものではなく

他のアーティストとのコラボのなかで

形になっていく。

コラボレーションの過程がよくわかる。

これが非常におもしろかったです。

いきなりMISHIMAの話なんだもんなあ。

映画MISHIMA ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズは

大好きな映画のひとつで三島由紀夫の小説世界を表現したセットが

素晴らしくて魅力のひとつにあったので

その舞台裏が読めておもしろかった。

あのセットは石岡瑛子だったんだ。

いいものができた、アメリカやカンヌでの評判もよい。

でも日本では上映中止、マスコミも否定的なことを書き立てる。

当時の雰囲気が想像できて興味深かったなあ。

マイルス・デイヴィスのTUTUのアートワークも手掛けてるんですね。

あの印象的な顔のアップ写真のレコードジャケットのディレクション。

あれやってたんだ。

なんか知らないうちに石岡瑛子デザインにふれてること多いのかもしれない。

映画見たり、CDジャケットを目にしたり、

舞台見たりしても、監督や演者のことはだれそれがやってると意識しても

セットやアートワーク、デザインは誰がやってるのかって意識して

知ろうとしないことが多いもんね。

ターセム・シンの映画「ザ・セル」も石岡瑛子だったんだ。

ジャニファー・ロペスがセレブにありがちな態度をとるから

うんざりしたみたいな話もあっておもろいですね。

クリエイティブよりも、自分のスターとしての価値があがることを

優先する人種と一緒に仕事をする苦労みたいなのが

ところどころ記述されてます。

髪型がマドンナみたいだと言われて怒り狂うジェニファー・ロペス。

毎日ヘアスタイルにクレームをつけて

ヘアーのチームをノイローゼに追い込むウィノナ・ライダー。

ビョークも撮影当日になって急に髪型が気に入らないと言い出す。

女のアーティストって髪型にすごいこだわるもんなんですかね?

フランシス・フォード・コッポラ、デヴィッド・カッパーフィールド、

ポール・シュレイダーなどがどういう人間であるのかというのも

垣間見えるエピソードが満載で楽しめます。

ドラキュラでキアヌ・リーブスと打合せしたときの

奇妙な笑えるキアヌの行動も描かれてて、

キアヌはどういうつもりだったんだろ、

ギャグかサービスのつもりかなんかだったのかな?

Tシャツをめくってお腹の傷セクシーでしょって見せてくるキアヌ。

どういうつもりなのか、さっぱりわからない。

これはおもしろい本でしたねえ。

まあ、でも石岡瑛子のコスチュームデザインが好きかというと

あんまり好きではなかったりしますね。

コッポラドラキュラの筋肉繊維丸出しみたいな甲冑のデザインとか

ちょっとどうかなあって感じだしね。

ドラキュラは映画そのものもなんか微妙だった記憶があるんだけど、

また今度見直してみようかな。

今見るとまた違った感想になるのかも。



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