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『ザ・ワン(原題:THE ONE)』【映画のあらすじとネタバレ感想】


ジェット・リー主演のマルチユニバースアクション。アメコミ映画で今やおなじみとなっているマルチユニバース設定がこんな古い映画ですでにやってるのが面白かった。SFではありふれた設定だから革新的というわけではないんだろうけどね。

125の並行世界が存在してて、それぞれの世界にジェット・リーがいる。いろんな職業、いろんな人生のジェット・リーがいるんですけど、その一人がそれぞれの世界の自分を殺すとそのパワーが残った自分に振り分けられることを発見。

ということは、124の世界の自分を殺せば、その全パワーが俺のものになって、全知全能の究極の存在になれるんじゃね?って考えて実行にうつしていく。時空をワープして次々とジェット・リーがジェット・リーを仕留めていってあと一人というところまでいきます。

残った二人のジェット・リーの戦いを描くSFアクション映画ってわけです。

悪ジェット・リーを追っかけてるのが時空警察のジェイソン・ステイサム。黒人の上司と一緒にジェット・リーを追いかけてるんだけど、殺すなって言われてて生け捕りにする。それでうまく逮捕できて流刑地に島流しの刑になるところを逃亡されてまた振り出しになったりする。

このへんのチェイスの展開は観客を飽きさせないようになってて面白かったです。アクションをやりながら、設定もうまく説明していく。なかなかうまい作りです。

映像もおもろい。ハードロックをBGMに悪ジェット・リーが高速で動いたりするんですよ。おもしろ。今まで殺した自分のパワーが備わってるから、弾丸をよけたり、時速80キロで走ったり、大ジャンプで塀を乗り越えたりするわけ。

大人数相手に、相手が止まって見えるほど素早く動いてカンフーでなぎ倒すジェット・リー。少林寺リー・リンチェイ時代を思い出させる動きを堪能できる。

それで善ジェット・リーもカンフーやるんすけど、123人のパワーが残った2人に集中しているので、善ジェット・リーもスーパーパワーに目覚めてて常人離れしたカンフーをできるんすよ。電信柱を折ったりします。

まあ最後はカンフー対決。同じ服装だったのに、見分けがつきやすいようにつなぎを脱ぐ悪ジェット・リーが観客に配慮してておかしかった。

ラスト、おなじみのどっちがどっちかわからない!っていう展開になって、あやうく善リーが悪者だと思われて島流しになりそうになるのだが、結婚指輪のあとがあることにジェイソン・ステーサムが気づいてすんでのところで助かります。

善ジェット・リーは嫁が生きている別のユニバースへ、悪ジェット・リーは犯罪者がおくられる流刑地世界へ転送されます。悪ジェット・リーがぜんぜんこりてなくて、犯罪者たちのなかへおくられて、そこで俺がボスになると修羅の戦いに突入するというエンディング。

先輩囚人たちがかわいがりをしようと大挙してやってくるが、悪ジェット・リーは誰がここのボスかわからせてやると、やる気満々で全員ぶっ倒そうと戦いを始める。なんだこのラストは。

うーん、どうだったんだろう。けっこうおもしろかったけどね。公開当時より、今のほうが抵抗なく見れそうだけどどうだろうね。アメコミ映画のひとつと思って見てみたらけっこういけるかも。

善玉ジェット・リーより、悪ジェット・リーのほうが魅力的でかっこいいのはちょっと問題だなあ。というかこの映画の主役って悪のほうじゃないか。囚人惑星で全員ぶちのめしてキングの座についた悪ジェット・リーが再び時空をワープして、幸せに暮らす善ジェット・リーを襲う続編が見たいね。


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