なかなかおもしろかったです。ベタベタな昔のヤクザ映画っぽい空気を現代的な感覚の映像で作ったって感じ。前半は役所広司の悪徳警官ぶりを描写していく。松坂桃李がこの人は最低だって思うような出来事が次々とおきる。
それが後半裏返る。実はいい人でした~みたいな。実は役所広司に世話になったという人がいっぱい出てきます。真木よう子とかピエール瀧とか。あいつもこいつも役所広司にお世話になってんだ、役所広司いい人じゃんみたいな。見てて、あれ?もしかして俺も役所広司に世話になってたかなとか思い出したし。
悪徳警官とコンビを組まされてあちこち引っ張り回されて悪事を目撃するっていう映画はけっこうありますよね。デンゼル・ワシントンとイーサン・ホークの「トレーニングデイ」とかさ。刑事モノのジャンルとしてあるかな。
結末は二通りのタイプがある。悪徳警官に見えて実はいいもの刑事だったというのと、悪徳警官に見えてほんとそのまま悪徳警官だったというやつ。うーん、悪徳はやっぱ悪徳っていうほうが面白いんだけどなあ。
まあ、役所広司も純粋にいいやつとは言い切れないかな。ヤクザに深く食い込んで内情を知っていくうちに、警察内部もヤクザと同じように警戒しなければいけなくなって、ヤクザと警察の間で生き残ることに必死になって身動き取れなくなっていた。
結局、どうしたかったのか。役所広司は。それがちょっとよくわかんなかったですけどね。松坂桃李が役所広司の真の姿を知り、情報を受け継ぐことで、今後は役所広司の後釜になってヤクザと警察組織との孤独な戦いを継続していくっていうわけか。
竹野内豊とか江口洋介とかがヤクザ演技してるの見てるとちょっと笑っちゃうとこあるけど、面白いですよね。孤狼の血シリーズでどんな人がどんなヤクザ演技を見せてくれるか期待しちゃうなあ。まあでもけっこう一本調子でみんな同じようなイキり方になってて、もっと変化が欲しいとこですけどね。
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