主人公が自分の人生を語るという形式。ずっとナレーションが入ってます。俺はこう思ったとか、俺はこうしたとかいう説明のナレーション。なのでなんか小説を読んでるような気分になりましたね。動く挿絵がついてる自伝小説みたいな。
成り上がろうと思って検事になるんだけど、主人公は純粋でけっこうまともな神経の持ち主です。検事になって不正やっていばろうと思ってなったわけじゃないのです。純粋に検事の権力の強さに憧れてという感じ。
それが検事は普通の公務員。普通にやってたら忙しい仕事に埋もれてたいして稼げもせずにすり減っていくだけ。有力者の息子が教え子をレイプしてる事件の起訴を準備していると、先輩がやってきて起訴はとりやめてくれと言ってくる。
有名なやり手検事が有力者とつながってるから、見逃してくれって。まあ、そこで主人公は葛藤があるわけです。レイプ魔を野放しにしていいのか。知的障害のある被害者の母親にありえない少額の示談金を渡して事件をなしにしている有力者に反感を覚える。
弱者をくいものにする悪どい強者を告発できる権力があるからこそ検事になったんじゃないかと葛藤するんだけど、正義を貫き通すことができず、起訴をとりやめる。そこに先輩からお誘いがくるわけ。有名なやり手検事の仲間にならないかと。
酒池肉林。限られた人間しか入れないタワマンのペントハウスでは、有力者たちが酒と女に興じていた。フォーッ!俺たちサイコーって、韓国テクノ・ポップにのせてパラパラみたいなダンスを踊る検事たち。権力の腐敗。検事は事件をストックして、頃合いを見て起訴したりしなかったりしていた。そのときどきの権力者に寄り添い、自分たちが有利になるようにコントロールしてたわけ。
なんかフーバー長官のFBIみたいですね。
自分たちとつながっているヤクザの敵対勢力を潰したりとか、都合の悪い事件から世間の関心をそらすために芸能人の薬物スキャンダルを流すとか、検事自身の私利私欲で権力を使っていた。そういうのに主人公も染まっていく。それで調子よく金も出世も手に入れていくんだけど、歯車がくるって落ち目になって切り捨てられる。
そうなって主人公は初心にかえり、権力の腐敗を暴くための計画を練り実行します。政治家として立候補して世間の注目をあつめて腐敗を追求する。まあ、そういう方法がうまくいくのかどうかはよくわからないけど、エンタメとしてはけっこう面白かったです。
悪徳検事たちがもっとも気を使うのが、時流を読むということなのがおもしろかったですね。だから大統領選で誰が大統領になるのかを当てるのに必死になってんの。当選させたくない候補者の対抗勢力に情報を流したり、占い師に占ってもらったりと必死です。
成功するためにもっとも重要なことは、時代の流れを読む力っていうね。検事がすごいんじゃない。検事の後ろにいろいろとくっついてるからすごいんだっていうね。虎の威を借る狐。
成功するには、自分が偉くなるんじゃなくて、偉いやつに寄り添って生き残っていくのが大事ってことっすねえ。最後の主人公の策も自分が偉くなって可能になったわけじゃないっすもんね。世論や時流を動かして腐敗追求の流れを作り出したから成功した。
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