記憶力のなさっていうか、一度見たのにこんなにも覚えてないもんだなって驚いたなあ。全然記憶にないんすよ。この映画、けっこう印象的なシーンが多いじゃないですか。殺された女の人の死体とか、桃のシーンとかきついし、刑事がずさんな捜査で容疑者に仕立て上げようと無実の人間に暴力はたらくとかさ。
後半の捕物シーンで走って犯人らしき人間を追っていくとか、いろいろと印象的で記憶に残りそうなシーンが満載なのに、まったく覚えてない。どういうことなんだろ?って不思議に思った。
まあ、それだけこの映画の映像と編集がうまくできてて、まったくひっかかりなくスムーズに見れたことで逆に印象に残らなくなってるっていうことかもしれない。
監督のポン・ジュノの手腕がこのときすでに完成度高かったということだろね。見事なもんです。1986年田舎の村でおきた連続暴行殺人。ソン・ガンホ演じる地元の刑事は証拠を捏造して障害者を犯人に仕立てようとするなど杜撰な捜査をやるが事件は解決しない。
ソウルから若手刑事キム・サンギョンが赴任してきて捜査に加わる。警察による拷問、自白強要が問題となり課長が首になり新しい課長が赴任してきて捜査は進展していくかに見えたが、犯行は雨の日、事件現場の保存はできず、証拠や痕跡がなく目撃者もいない状況でなかなか犯人が見えてこない。
そんな感じで前半は田舎の警察の杜撰な捜査ぶりを描写、中盤で少しはまともな捜査に切り替わっていくが、手がかりがなく後戻り、後半はこれはという容疑者があらわれて追い詰めるがどうなるかみたいな展開です。
まるで自分も捜査に加わっているかのような臨場感があって、引き込まれて見てました。なにか糸口がつかめそうになって動きがあってまた振り出しにっていうサスペンスの演出が見事でね。
この映画にはモデルとなる事件があって、「華城連続殺人事件」っていう韓国では有名な未解決事件で映画公開時は犯人は見つからず未解決のままだったのが、なんと2019年に犯人がわかったようです。
最新のDNA技術で再鑑定したところ、別の事件で服役している囚人と一致。しかしすでに事件の時効が成立しているので罪には問えないという結末。なんともすごい話です。
やっぱこのパターンが多いでしょうね。未解決事件の犯人は別の罪で服役してるパターン。連続殺人で犯人がわからず、犯行が止まってるやつはこのパターンが多いんだろうなあ。
この映画では最後に犯人はわからず事件は未解決のままで終わるんだけど、監督としては犯人に事件は風化してないぞ、いずれ罪の報いがくるぞとメッセージをおくってるように思えました。
容疑者を足蹴にして暴力をふるってた刑事が喧嘩騒ぎで破傷風になって足を切断しなくちゃいけないエピソードとかさ、別になくてもいいようなもんだけど、それは犯した罪の報いはいずれくるということを犯人につきつけるシーンだったんじゃないかな。
足で悪さをして足を失うのは、捏造や杜撰な捜査をした警察への批判。犯人に人を何人も殺しておいて無事でいられないぞっていうメッセージだったんじゃないかな。その後、実際の事件で犯人が判明したけどもう時効で罪には問えないっていうのがまたね。きつい話だなっていうね。
この事件の犯人、いったい何人殺してるんだよ。別の事件で服役していたっていうのも、殺人事件だし。
実際の事件をもとにしてる映画って再現映像になっちゃうことが多いけど、これはフィクションとメッセージ性をうまくもりこんでちゃんと映画になっててすごいよかったです。
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