ニコラス・ケイジがニコラス・ケイジを演じるってどういうこと?って感じなんすけど、ニコラス・ケイジ役です。別にドキュメンタリーっぽくリアルに演じるわけじゃなくて、ちゃんと誇張された役として演じています。
有名で過去には大作映画に何本も出演してて人気もあるけど、最近は演じたい役をゲットするのも大変でみたいな実際のニコラス・ケイジの境遇と経歴そのまんまの役。途中で過去の出演作品の映像が出てきたりする。
「コン・エアー」とか「不機嫌な赤いバラ」とか「フェイス/オフ」とかニコラスといえばこれっていう作品にふれてくる。
役者バカでとにかく映画の演技で頭の中はいっぱい。どうしてそんなに仕事するんだ、もっとセーブしたらいいのにスターなんだからって言われるけど、おれは仕事を一生懸命したいだけなんだ、仕事して生活費を稼ぐのが当たりまえだろ?って。
ニコラス・ケイジは仕事選ばずなんでこんなしょうもない映画に出てるんだろ?って思われてるとこあるじゃないすか。その疑問に答えたりするのがおもしろい。この映画、ニコラス・ケイジマニアが作ってるなって感じがします。
表面的なニコラス・ケイジいじりじゃなくて、ディープないじりかたしてくるなみたいな。だからおもしろいんだろうね。
演じたい役は得られず、娘との関係もぎくしゃく、ホテル住まいの借金も多くキャリア、家族、お金、すべてに行き詰まりを感じていたニコラス・ケイジ。そこにスペインの金持ちのパーティーに参加するだけで100万ドルのギャラという仕事が舞い込む。
もうおれは役者引退するとやけになってるニコラス・ケイジは仕事をうけてスペインへと行くのだが……みたいな感じで始まります。
スペインの金持ちはペドロ・パスカルが演じています。ペドロ・パスカルは大のニコラス・ケイジファン。ニコラス・ケイジを呼んだのは、自分の書いた脚本でニコラス・ケイジ主演の映画を作りたいという目的があったから。
前半、中盤は、キャリアに悩む役者とその大ファンとの交流のドラマが描かれます。ニコラス・ケイジはいつものようにパワー全開で全力演技。いやー、衰えということを知らないね。パワフル。
ニコラス・ケイジがもう一人のニコラス・ケイジの幻影と会話したりするんですよ。若い時のバリバリのときの髪の毛ふさふさのニコラス・ケイジが出てきて、会話するシーンがおもしろい。なんなんだろな。
ニコラス・ケイジが大声で感情を爆発させてるだけでおもしろすぎるんだ。これは演技がうまいということなのか、ニコラス・ケイジがおもしろいということなのか。まあ、演技がうまいんだろうけど。
後半はサスペンスアクションになります。ペドロ・パスカルは実は武器商人でスペインの大統領候補の娘の誘拐にからんでいるとCIAに思われてマークされています。まあ、じつはペドロ・パスカルじゃなくて親戚の男が黒幕でペドロ・パスカルはただのニコラス・ケイジファンの映画マニアなのだが。
CIAに協力することになってニコラス・ケイジがスパイのマネごとをする。ペドロ・パスカルと一緒にどんな映画を作るかをLSDをきめて語り合ったりします。クスリでハイになったペドロ・パスカルとニコラス・ケイジが映画でよくあるシチュエーションごっこをするのがくすっときましたね。
映画あるあるみたいなのを全力で演じる二人の達者な俳優。うおー、俺にかまわず先に行け~みたいな、バディものでよくあるやつ。
この映画は映画好き、ニコラス・ケイジ好きが見たら点数が跳ね上がりますね。逆にあんまり知らないとそんなでもないかも。
ペドロ・パスカルがこれ見て善人になろうと思った最高の映画だという「パディントン2」をニコラス・ケイジが見て、最高だって涙するとかさ。
パディントン2の内容を知っていたら、この映画の状況と重ね合わせて意味がわかるからおもしろさも増えますね。
フェイスオフの黄金二丁拳銃とかも出てきたなあ。なんかこの映画見ると久しぶりニコケイ映画を見たくなってくるね。フェイスオフ、コン・エアー、ザ・ロックとか好きなんだけど、今見てもおもしろいかな?
まあ、そんなこんなで最後は悪党と対決、やっつけて、ペドロ・パスカルと一緒に作った映画で見事カムバック、観客からスタンディングオーベーションで喝采を浴び、娘ともいい感じになりめでたしめでたしですと。
おもしろいのが、映画の中でペドロ・パスカルとニコラス・ケイジが作ろうという映画は、人間に焦点を当てたドラマだと、アクションなんかいらない、大事なのは人間ドラマだと言ってるんだけど、ニコラス・ケイジが時間稼ぎのために、誘拐シーンやアクションシーンをいれようと言い出す。
真面目な人間ドラマが重要なのはわかってるけど、観客を呼ぶためのフックが必要だろ?って。このマッシブ・タレントという映画がそのまんまそうなんですよねえ。最初はニコラス・ケイジという俳優の悩みに焦点を当てた真面目なドラマっぽい。
それが後半はCIAや武器商人がからむ誘拐事件のはちゃめちゃなアクション映画になる。観客を劇場に呼ぶためには、アクションや事件が必要なんだっていうね。
ニコラス・ケイジがニコラス・ケイジを演じて、映画の中で映画を語る入れ子構造がなんとも楽しい映画だったなあ。
ニコラス・ケイジ好きじゃなかったら、ただのいい加減なB級映画になっちゃうと思うけどね。