ファミリーの成り立ちと、ファミリーの行く末両方を描くひと粒で二度美味しいスタイル。なので上映時間がめちゃくちゃ長いです。3時間22分だっけ。長すぎるけど、過去と未来両方描くので仕方ないですね、長くなるのは。
で、おもしろいのかというと、うーんって感じかな。気軽に見て、気軽に楽しいっていうものではなかった。大河ドラマ的なおもしろさです。戦国時代の武将をテーマにしたNHKの大河ドラマを見て楽しむみたいな感覚で見るとおもしろい。
ただ強いだけではマフィアのボスはつとまらない。親族のなかにできの悪いやつがいて処分に困るとか。ファミリー内でのいざこざをうまく処理しなければならない難しさ。外の勢力とどうやりあうのか、どう手を組むのか。
大きな組織を率いることの苦悩と孤独。そういうおもしろさですかね。ひとつひとつの出来事が、すごくおもしろいっていう感じじゃないけど、人間関係や勢力関係をわかって見てると味わいがあるって感じです。
衣装とか大規模な群衆シーンとかも見どころですよねえ。あれ、街での撮影がすごいですね。大通りみたいなのを歩いたり車でとばしたりするんだけど、奥の方の建物や人とかお店とか古く見えるように作り込んで全部エキストラで埋め尽くされて撮影したと思うと感動する。
ロバート・デ・ニーロのパートは1910年とかですっけ?あんな短いシーンのために街の一角全体を占拠して作っちゃうって、映画って狂ってるなって思う。CGが主流になる前の映画は、ほんとすごい映像だよなあっていつも思う。
それと思ったのが、ロバート・デ・ニーロがめちゃくちゃかっこよかったですね。いやー、鋭い。研ぎ澄まされた強い男って感じの面構えで、イケメンでびっくりです。ロバート・デ・ニーロにイケメンというイメージはなかったけど、この映画のロバート・デ・ニーロはイケメンだったなあ。
マーロン・ブランドの若い時を演じたということで、喋り方とかマーロン・ブランドに寄せてるのがちょっと笑えたけど。
まあなんでしょうか。ファミリーのドンになったのが、マフィアにならずにカタギとして生きるつもりだったアル・パチーノだという不幸。マフィアのドンの息子に生まれたのに、マフィアとは違う生き方をするつもりだという独立心があるがゆえに、逆にマフィアのドンに向いているという不幸。
ファミリーを束ねるにはそれぐらいの強さがないとダメだっていうね。まあ、ほんと不幸だなあ。信じられるものはいない。頼りになる兄弟はいない。嫁も去っていく。孤独を深めていくアル・パチーノはいったい何のために生きているのか。
アル・パチーノといえば、最近のニュースで会計士の投資詐欺にあって破産していたらしいです。大ヒット作品にも出てるし、順調な俳優人生で財産もすごいんだろうなって思ってたけど、70歳で破産状態で金のために出演作を選ばず仕事してたってすごいな。
何十億円、何百億円稼ぐセレブが破産ってよくきくけど、短期的に巨額の報酬を手にするとみんな金銭感覚おかしくなるみたいですね。大金をターゲットに詐欺師も近づいてくるし、生活水準をあげて湯水のようにお金を使うしで、だいたいみんな破産するみたいだ。
映画のゴッドファーザーでファミリーをうまく成長させたアル・パチーノも現実世界ではうまくやれなかったようです。