いつ爆発して暴れまわるんだろう、ニコラス無双が始まるのはいつかな~なんて思って見てたんですけどいつまでも無双が始まらない。始まらずに終わりました。始まりそうな気配はするんです。お、来るか?みたいなムードはたびたび出るんだけど、肩透かしされる。
これわざとやってますよね。変な地下空間でファイトクラブみたいな殴り合い大会やってるとかさ。絶対、ニコラス・ケイジがここで暴れるんだろうなと思うし。でも、ただ殴られてボコボコになるだけで暴れない。
ラスボスのとこにたどり着いて、おお、来るか?って思ったら料理を作るだけで暴れない。トリュフで相手を殴りつけるとか、トリュフを投げつけて相手をダウンするとかあるのかと思ったけどなかったです。
なぜならニコラス・ケイジは元シェフで、現在トリュフ取りの普通のおじさんだから。元グリーンベレーでもないし、元海兵隊でもないし、元殺し屋でもないから。
昔、すごい凄腕で人気の料理人だったニコラス・ケイジは、今は森で豚と二人暮らし。豚はトリュフ狩りをする豚です。優秀でニコラス・ケイジになついていて、でっかいトリュフを見つけてくれる良き相棒。
世捨て人状態のニコラス・ケイジなんすけど、トリュフブローカーの若者にトリュフを売って生活してます。トリュフってすごい高値で取引されてるらしいですね。ブローカーの若者は若造なのに羽振りが良さそうです。
そんなある日、相棒の豚が強奪されてしまう。豚を探して取り戻すために、森から出て街へ行くニコラス・ケイジ。街でブタ探しするなかで、ニコラス・ケイジの過去の因縁がいろいろとわかってくるっていう感じの作りです。
街には昔、料理人してたときの知り合いとかコネとかがあって、そこをめぐることでしんみりと過去と向き合うみたいなのを見せていく。
この設定と筋書きだったら、リベンジアクション映画として作るほうが簡単だと思うんだけど、いたって真面目なシリアスドラマとして作られています。
キアヌ・リーブスの「ジョン・ウィック」みたいな感じで作れると思うんだけど、ぜんぜんそうならないんだ。
ニコラス・ケイジが静かな男を演じている。ニコラス・ケイジお得意というか、ニコラス・ケイジといえばこれだという、感情を爆発させる演技を封印しています。
何が起きても静か。何をされても静か。ぐっとこらえて感情を噛みしめる男。
うーん、どうだろね。ニコラス・ケイジは最高なんだけど、おもしろい映画なのかというとそうでもなかったかな。