『ゴッドファーザー 最終章 マイケル・コルレオーネの最期(原題:The Godfather, Coda: The Death of Michael Corleone)』【映画のあらすじとネタバレ感想】
編集しなおしたからおもしろくなったのかな?傑作と名高いパート1。続編なのに傑作だと言われるパート2。パート3は公開当時は酷評されていたような気がします。蛇足だとか、作るべきじゃなかったとか、娘のソフィア・コッポラを起用したのが失敗だとか。
とにかく評判悪かったですね。今回見たら全然そんなことなくて、普通に楽しめたのでびっくりです。いやー、普通におもしろいじゃんみたいな。ソフィア・コッポラも悪くなかったです。むしろ普通の娘っぽくて良い存在感だと思ったね。
もともとウィノナ・ライダーが演じる予定だったらしいんだけど、気分がよくないから出られないとか言ってドタキャンしたんだっけ。ウィノナ・ライダーバージョンも見たいような気もするけど、素朴さがあるソフィア・コッポラのほうが映画にあってるかも。
3がおもしろくないと言われるのは、1と2が神格化されてるから仕方ないとこもありますよね。マフィア映画の基本となった1。ファミリーの歴史を壮大な大河ドラマとして見せた2。エポックメイキング的な重量級の2作に比べれば、3はこじんまりとしてることは確かです。
でもさ、暗殺もたっぷりあるし、アル・パチーノの哀愁もたっぷりだし、後継者アンディ・ガルシアの胸毛もびっしりだし、3だけ見ても楽しめるよ。
アル・パチーノ演じるマフィアのドンがもう糖尿病でふらふら。晩年なんすよ。ファミリーの成長はとどまることを知らず、お金という面では繁栄の極み。バチカン銀行と接触して、資産や組織を合法的なものに移行中。ファミリーの隆盛にたいして、アル・パチーノ個人の幸せは手に入ってない。
ファミリーのために命かけてやってきたというのに、アル・パチーノに平穏な家族との生活があるのかというとまったくありません。孤独。老体に鞭打って、まだ血で血を洗う報復合戦をやってファミリーを守っている。そういうもの悲しさの物語。
別れた奥さんに、おれは変わったんだというんだけど、すぐ問題がおきて抗争に次ぐ抗争。マフィアのドンに心安らげる人生は歩めない。1でかたぎにならずマフィアの世界で生きていくこと決めた時点で、こうなるのはさけられない定め。
結局、一番手にしたいものが手に入らないという悲しい話なんすよねえ。手に入らないどころか失ってしまう。娘を失って号泣するアル・パチーノがなんだかすごくかわいそうに見えたなあ。
なんかさ、サラリーマンのお父さんみたいじゃない?家族を食わせるために、仕事仕事でがんばったけど、家族からは総スカンくらって、定年してから孤独になっちゃうみたいなさ。がんばっても家族からはよくやってくれた、ありがとうって言われない。
逆に恨まれたりバカにされたりする。
アル・パチーノにはドンのちからとお金を称賛する人がよってくるけど、血縁のある家族からはまったく愛されてない。逆に憎まれたりしてる。悲しいなあ。なんのためにやってきたのかわからないよ。
見どころはやっぱり後半のオペラ観劇中に進行する暗殺のところですかね。なかなかうまくいかないのが笑えるし、双子のボディガードがまったくダメなやつらっていうのも笑えた。オペラグラスで舞台じゃなくて、お菓子を食べてるかチェックしてるのも笑えた。
ヤギだっけ?の真似する殺し屋とかさ、なんか血なまぐさい暗殺シーンなのに、バカっぽさがあるのがいいね。人の生死というシリアスなものは、ある意味喜劇だという皮肉な視点を感じる。いやー、やっぱりいいですね。オペラを見てる裏では暗殺がっていうのは。マフィア映画には必須のシーンだね。
あとはアンディ・ガルシアとソフィア・コッポラがパスタをいじくるラブシーンかな?二人でなんかをいじくるラブシーンでは「ゴースト」のろくろと並ぶ名シーンかな。