よくわからないというのは、会話シーンが会話になってないのがまずありますね。いったい誰に向かって話しているのか?みたいな、独り言みたいな哲学説明セリフを長々と登場人物が喋ります。いや、どういうこと?みたいな。
会話になってない。これもともと小説が原作みたいなんすけど、文字で書かれたト書きとか、説明的セリフをそのままアニメーションでセリフとしてやってるみたいな感じがしました。小説だったら不自然ではないのかもしれないけど、こうして映像でそのままやると不自然すぎるみたいな。
主人公が何を考えているのかもよくわからないです。なんかすごい特殊部隊の人みたいで、感情とか痛覚とかをコントロールする施術かなんかをうけてて、戦場で迷うことなく作戦を遂行できる兵士らしいのだが、感情ブレブレで全然そんな兵士に見えません。
男を追う手がかりとして、過去に男の愛人だったチェコ語の家庭教師に接近するんだけど、惚れたのかなんなのかわからないけど、彼女にすごい執着します。全然、冷静に作戦を遂行できてない。
感情をモニターされたり、病院でいろいろ施術されてたりしてるから、すぐにこいつおかしいってなって作戦から外されると思うけど、なぜか野放しです。
世界で内戦を引き起こして回ってるらしき男は言語学者で、人間には虐殺を引き起こす器官が備わっていて、それを言語によって刺激することで虐殺行為に導くことができるということを発見したらしいです。
このへんの設定はおもしろいと思いました。人間にはいろいろな器官が存在していて、普段は眠っているけど、なにかの刺激によって器官が働いて人を動かすみたいな話はおもしろいですね。SFとしての面白みはすごいある話だなと。
でもちょっと残念な感じの話でもありましたね。ウェットすぎるというか、浪花節すぎるというか。犯人の動機がなんかお涙頂戴的なのがどうかなあと。自分が浮気してる間に、内戦で核兵器が使用されて嫁と娘が死んでしまった。
そのショックと罪悪感から世直しすることに。言語によって虐殺を引き起こせる虐殺の文法により火種のある国や地域で内戦を引き起こす。それは、アメリカの脅威となりそうなテロ国家や武装国家を、内乱を引き起こすことによって内輪もめで殲滅するため。
安全、安心、便利な世界を守るために、事前に火種を消して回る。それで安心安全なアメリカは保たれるみたいな。なんかそういう理論だったかな。よくわからないけど。そう、よくわからないんだよなあ。
最後もよくわからない。主人公は法廷にたって今まで起きたことを証言するというところで終わり。その証言は虐殺の文法を用いて作られていて、彼の証言によりこのあとアメリカで内乱が発生することを予見させて終わりです。
主人公がなぜそんなことをするのか、いまいちよくわかりません。
キャラクターの絵柄や、クラブでズンドコズンドコするところが、なんか閃光のハサウェイに似ていると思ったら監督が同じ人だった。なんか暗いシーンがほんとに暗くてよく見えないのも閃光のハサウェイと一緒。
会話が理屈っぽいこと言ってるだけで成立してないのも同じ。監督のトレードマークが暗いシーンは見えないくらい暗く撮る、ダサいクラブシーン、かっこつけた会話にならない独り言セリフっていうことですね。
他の監督作でもこのトレードマークあるのかな。