ボルグっていうのは聞いたことあるようなないような。ウィンブルドン5連覇もしてるんだから大選手なのにあんまり記憶にないのは、世代じゃないからかなあ。でもマッケンローは知ってる。記録より記憶に残る選手マッケンロー。大記録を残して若くして引退したボルグ。
このふたりのウィンブルドン選手権での激闘を描く映画。実話をもとにした伝記映画。まあ、実話をもとにした系なので、ドラマとしては地味なのでおもしろいのかというとそれほどでもないって感じでした。
プレッシャー。重圧に押しつぶされそうになりながらも戦う男たちっていうのを描いてました。4連覇して次勝ったら5連覇。人気者でどこにいっても顔をさされて騒ぎになるほど有名になってるボルグ。
大谷翔平みたいなもんでしょうか。一挙手一投足見られてあれこれ人に言われる。
そのボルグに迫る急成長をしてもしかしたら勝ってしまうんじゃないかと期待されている新星マッケンロー。冷静で何事にもどうじずいつものプレイをするボルグ。コートで感情を爆発させて起伏の激しいプレイをするマッケンロー。
正反対に思える両選手ですが、実は似た者同士だったというふうに描かれていました。ほんとのところどうだったのかよく知らないけど、事実に忠実に描いてるのだったら面白いですね。
ボルグも若いときは、すぐにぶち切れて悪態ついたりラケットに八つ当たりしてたんだって。マッケンローとそっくり。同じじゃんみたいな。だからなのか、ボルグはマッケンローにシンパシーを感じているように描かれてました。
長い会話のシーンはないんだけど、ボルグの眼差しや短い言葉が、わかるよ、おまえの気持ち、おれもおなじだからって言ってるんだよなあ。
ボルグは勝つために感情の爆発をコーチと二人三脚で制御する術を身に着けてチャンピオンになっていったみたいな感じで描かれてました。感情をコントロールすることに神経を使ってる。
マッケンローのほうも描かれます。こっちはなんだろうね。やっぱりボルグと似てるところがあるんですよねえ。父親の期待にこたえるためならなんでもやる。どうしても勝たなきゃいけない。だからあれほどの感情の爆発をやっちゃう。
子供のころのマッケンローを描くシーンで、父親が食事に招いた客の前で、うちの息子は算数の掛け算が得意なんだ、なんでも問題を出してみてくださいとお客に自慢するんですよ。息子としてはすごいプレッシャーですよねえ。
父親の期待にこたえなきゃいけない。父親の面目をつぶしてはいけない。重圧のなかで生きている。ボルグが注目をあつめて連覇するのか負けるのかっていう重圧の中にいるのと同じ。
まったく異なるタイプに見える二人がじつは通じる部分があるっていうね。そういう奇妙な友情の物語でありました。
タイブレークに次ぐタイブレーク。ボルグのマッチポイントをマッケンローがしのぎ続ける激闘の果てに決着。テニスコートで戦った二人は、試合の中でなにかを分かち合った。
まあ、地味ですけどね。