自分が物心付いたときは、丹波哲郎といえば役者というより、バラエティ番組でいじられておもしろいこと言ってるおじいちゃんって感じだったっすねえ。それが昔の邦画をよく見るようになってから、丹波哲郎の名優ぶりに驚いたもんです。
すげえ役者じゃないか。なんだろ、この重厚感。丹波哲郎がそこにいてなにかセリフを言うだけで絵になる。こんなタイプの俳優って日本ではなかなかいないなあと。そんな丹波哲郎がゲストで声優として出てくる。
声だけの演技でもやっぱり丹波哲郎。すごい存在感と説得力です。温泉の精霊の役なんだけど、すごい納得感というか、丹波がそういうんだからそうなんだろ感があります。路上で倒れてるところをしんのすけが見つけて、いろいろ話してなぜか家の風呂に一緒につかることになる。
知らないおっさんと一緒に風呂って突拍子もないけど、丹波哲郎としんのすけのやりとりがスムーズにおもしろく展開していくのでそれほど変だと思わないっていうね。なんなんだろうなあ、この丹波哲郎のすべてを包み込んでしまうちから。
丹波以前に丹波なし。丹波以降に丹波なし。稀有な俳優だなあ。まあ丹波話はこのへんで、今回の話は温泉です。日本人の心の拠り所、温泉を守る温泉Gメンと風呂嫌いで温泉を破壊する悪の組織YUZAMEの戦争に野原一家が巻き込まれていく。
ミリタリー色がけっこう強いです。敵の巨大ロボットが春日部を破壊したり、それを食い止めるために自衛隊の戦車が出動したりします。そのシーンのBGMに怪獣大戦争のマーチやゴジラのテーマが流れてきて、え?本物使ってるってびっくりした。
車でハマーとかも出てきますよね。なんか戦車とかハマーとか出てくると戦時下って感じが盛り上がる。いやあ、でもけっこう深刻すぎました、今回は。温泉をどうこうというレベルじゃなくて、日本の国、街が戦場になって破壊される危機という感じ。
春日部市民の避難シーンで、もう無事で再会できないかもしれないという悲壮感が漂ってて、これ子供向けアニメなのに重すぎるってちょっと思ったなあ。
のんきにお湯につかって気持ちいい~とか言ってる場合じゃなかった。おちゃらけたギャグのムードが少なくて、ちょっと真面目なシリアスなムードが強すぎたかもしれない。その深刻な危機を救うのが金の魂の温泉という伝説のお湯っていう展開なんだけど、シリアスさを覆い隠せてないような。
そういえば、今回はオカマキャラって出てきてなかったですね。出てきてたっけ?今まではオカマキャラがちょっととぼけた空気だしてたから、深刻なことでもそれほどシリアスになりすぎずに見れてたのかもしれない。
いや、敵側にオカマキャラいましたね。指圧が得意なやつ。いちおうオカマだったけど、あまり目立ってなかった。これまでの作品ではけっこう押しの強いオカマキャラが多かったからこんだけおとなしいのは珍しいと感じたなあ。
まあなんにせよ温泉は日本人ほんと好きですよねえ。なにかといっちゃあ温泉温泉。旅行で温泉。あっちこっちに温泉があるから当然といえば当然だけどね。こちとら風呂の湯船には何十年もつかってないです。いつもシャワーのみ。
いやーでも、たまには温泉にゆっくりつかってほっこりしたいですね。この映画見たらなんだか温泉に行きたくなった。