劇場映画シリーズ第6作目。1998年のアニメかあ。だからですね、出てくるタレントネタがかなり古くてよくわからなかったりするのは。山田まりやの名前が出てきたり、SHAZNAのIZAMが本人役で登場したりするけど、今の若い人には誰?って感じなんだろうね。
エンディング曲がSHAZNAだった。シャズナが出てきたのがこんぐらいの時期だったのかあ。すげえ懐かしいです。内容はスパイアクションものかな。世界侵略を狙う組織、ブタのヒヅメがコンピューターをハッキングするスーパーAIウィルスの開発をする。
それを阻止しようとSMLという正義の組織のエージェントが動いていた。コードネームお色気という女エージェントがコンピューターウィルスのデータを奪取して逃亡。そこにクレヨンしんちゃんたちが居合わせて攻防に巻き込まれていくという展開。
アニメならではのスピード感と飛躍が心地いい。これをそのまま実写映画でやると、けっこうきついと思うんだけど、アニメだから全然大丈夫って感じです。やっぱアニメと実写じゃあ、文法が異なりますね。
冒頭の飛行船でのバトルから東京湾にパラシュート降下したところに、屋形船で食事を楽しむクレヨンしんちゃんたちがいてという一連の流れがダイナミックですごい。
見どころのひとつはアクション描写。コードネームお色気と筋肉というエージェントの銃撃戦や格闘戦の描写がかなり凝っててガンマニアとかミリタリー好きな人にはうけそうです。ハリウッドのリアル系のガンアクション、近接格闘アクションの映画の描写をクレしんでやってる。
20年前のアニメですでにこういうアクションの見せ方をやってるとはすごいな、クレヨンしんちゃん。
もうひとつの見どころは、クレしんといえばこれ、家族愛。しんのすけがさらわれてしまう。エージェント筋肉がSMLが彼らを探して救うから、みさえとひろしはおとなしく待ってろというんだけど、待ってられるかとどこまでも筋肉についていく。
そのしつこさがすごい。下剤入りのお茶を筋肉に飲ませて、トイレを使いたかったらわたしたちも連れて行くという書面にサインをしろと迫ったり、手がかりもないのに香港へ行ったり。子供の危機に親がじっとしてられるかってんだっていうね。クレヨンしんちゃんの映画といえばこれだなあみたいな。
あとおもしろかったのが、AIウィルスの描き方かな。そのコンピューターウィルスがぶりぶりざえもんの姿してんの。開発者の博士がしんのすけの落書きしたぶりぶりざえもんをベースに作ったから。
そのぶりぶりざえもんを止めるために、しんのすけがコンピューター内のサイバースペースにログイン。ぶりぶりざえもんとやりとりする。ぶりぶりざえもんがおもしろすぎる。声優は塩沢兼人だっけ。あの声であの間であの絵でとぼけたことやられると面白すぎます。
ぶりぶりざえもんが幸福とはなにか、宝物とはなにかに気付かされる昔話風のシーンがあるんだけど、あんなにバカバカしいのになぜか感動的という場面になってて、クレヨンしんちゃんの醍醐味ってこれだなあみたいな。
バカバカしいのにしんみりと身にしみてくるみたいな。その軽さというか、軽やかさがいいですね。ああ、いいシーンだなと思っても、それがあと引くわけではなくて、また、すっと軽い笑えるお下品なトーンになる。
そこがクレヨンしんちゃんの映画の魅力なんだな。