昔の映画だから街の風景を映した画面が白っぽく見えてるのか、それともあちこちで埋め立て工事や建築工事をやってるから、塵やほこりや土埃が舞い上がってて、光化学スモッグみたいにもやがかかっているのか。
すごい空気まずそうだし、そこらへんの道路ゴミだらけだし。大勢の人たちが、その日の仕事のためにあちこち移動して大混雑。その日、どう食いつなぐか、生き残るかみたいな変な活気にわいてる。60年代って高度成長期でしたっけ?違ったっけ。
60年代の日活映画見ると、東京がまだ土の地面だらけで開発途中の荒れ地みたいにみえるから面白いです。記録映像として価値あるなあ。ロケをあんまりしてなくて、ほとんどオープンセットで撮影されてるやつもあるけどね。
内容は若者の青春の苦悩と希望みたいな感じです。坂本九のヒット曲をもとに坂本九、浜田光夫、高橋英樹の3人の若者を描く青春物語。吉永小百合も出てるよ。
坂本九と浜田光夫は少年鑑別所に入ったり脱走したりを繰り返している不良少年。浜田光夫はジャズドラマーになるという夢をもってる。60年代の流行りの音楽ってやっぱジャズなんすね。
高橋英樹は大金持ちの家の子供。でも父親が妾に産ませた子供で、兄貴と揉め事おこして勘当されて今はノミ屋やってる不良。またこの金持ち家族の描写がすごい。なんせ父親と母親と兄貴が家でチェロ、ピアノ、ヴァイオリン弾いて楽しんでたりするんすよ。
家族団らんがピアノ三重奏曲演奏ってどんな家族だ。その団欒を物陰から物欲しそうに見てる高橋英樹が悲しい。家族のところに戻りたいと思ってるんすよ。どうにかして父親に認めてもらいたいと兄貴と同じ大学に入学するためにノミ屋で稼いで学費をためて受験勉強もやるという不良だけど超真面目というかわった役です。
そんな彼らが、まともな仕事で夢をつかんでまっとうな暮らしをしたいという希望と、それがかなわないかもしれないという不安との間を揺れ動く青春ストーリー。うまくいきそうだと思ったら、それがすれ違いでぶち壊しになり、もうダメだと思うと、そこに救いの手が差し伸べられてまたやり直しのチャンスがくる。
アップダウンの激しい話だけど、結局は思う存分殴り合い、思いのたけをぶつけあうことでわかりあえるだろうみたいな結末をむかえます。希望も不安もなにもかも、溜め込まずに発散させてぶっ飛ばせみたいな。
汗を巻き散らかしてドラムを叩きまくる浜田光夫。坂本九が「あの娘の名前はなんてんかな」を歌うシーン。吉永小百合の妹が小児麻痺を乗り越えるクララが立ったシークエンス。
なんだかよくわからない話だったけど、なんか青春してるなあって楽しかったですね。高橋英樹氏の若いときの初々しい演技が見れるのも見どころか。不良やってるんだけど、全然不良が様になってないのがおもしろいです。