映画のトーンとしては最初めちゃシリアスなんだけど、だんだんコメディ色が強くなっていきます。殺しをエンタメとして見せる系になっていく。殺しに重みがまったくないタイプ。いやー、これがなあ。最初のシリアスなトーンで最後までいってほしかった。
スローテンポで甘いメロディの古めの音楽にあわせて銃撃しまくる演出とか、どうなんすかねえ。音楽は優雅なのに、目の前では殺戮がっていうギャップ狙いの演出。なんか殺しが軽くなっちゃうからあんまり好きじゃないなあ。
あとこの映画らしさっていうのは、主人公が普通のおじさんっていうところですかね。別に筋肉ムキムキでもないし、特殊な格闘技を使うわけでもないし、凄みがある見た目をしてるわけじゃない。険しい顔した普通のおじさん。
見た目は普通のおじさんだったけど、心理面はけっこうキチってたなあ。暴れるのが大好きだけど、普段おさえてるっていう感じで、なにか暴れるきっかけを探してるみたいな危ないやつなんだよ。
最初、家に強盗が入って、暴れようかと思ったら相手の銃に弾が入ってないのがわかってさめちゃって暴れない。で、襲撃してきた強盗を探し当てて訪ねていって暴れるのかと思いきや、相手は貧乏で病気らしい赤ん坊がいてっていうのがわかった、また冷めてしまう。
暴れるきっかけを逃してストレスたまっていくおじさん。そしたらさ帰り道のバスで、変な輩が乗り込んできて、これ幸い、もうこいつらでストレス解消するかって感じで暴れます。一応、乗客の女の子を逃がすためという言い訳を言っていたが、暴れる理由としては弱すぎる。
ただおっさんの暴れたい欲求が高まってたところに、チンピラがいっぱい来たから暴れただけみたいな。おじさんは暴れてストレス解消するのが目的なので、スマートな戦闘じゃないです。けっこう殴られるし、刺されるし、ダメージをけっこうくらいます。
こういう無双系の主人公ってまったく傷つかなくて、敵を圧倒することが多いけど、この映画ではかなり傷を負います。それもなんかわざとくらってるような感じもします。暴れてスッキリしたいのが目的なので危険なことをわざとやってる節を感じる。
相手にもほどほどにやらせておいて、それをぶっ倒すのが好きみたいな感じで戦う。またそこがなんかキチっぽいですね。
見た目はおじさん、中身は暴れたい願望満載の危ないやつ。それがこの映画の主人公ですね。まあ、とくに目新しいこの映画ならではの新機軸はなかったかも。ボコった相手がロシアンマフィアの身内で狙われるってどっかで聞いたことある話だなあみたいな。
老人ホームに入ってる父親役がBTTFのクリストファー・ロイドだった。まだ現役で俳優やってんすね。ちょい役かなと思ってたら、最終決戦に登場して活躍してました。
うーん、まあもうこういうのはいいかなって感じです。殺しアクションを娯楽として楽しむのが歳のせいなのか無理になってきた。