主役はスケボー少年。母親と兄貴と暮らしてる。かなり幼いですね。小6とか中1ぐらい。家でスーパーファミコンでFゼロやったり、スト2のTにシャツ着てる。兄貴の部屋に勝手に入って音楽聞いたりジョーダン見たりして、へえ~これがクールなんだって勉強。
スケボーショップにたむろするかっこよくスケボーきめるグループがいて、少年にとって憧れの存在。そこに加わって仲良くなっていくのを描写する。少年は素直で真面目ないいやつなんすよ。礼儀も正しいし。
それを自分より少し年上のやつにからかわれる。ありがとうなんていうなよ、おまえオカマか?とかいう。悪ぶりたい年頃ですよねえ、中学生とか高校生ぐらいのときって。90年代がそういう時代だったのかなあ、時代的に。
黒人は日焼けするのかっていう話題のときに、おまえどう思うって聞かれて、どう答えたらいいのかわからなくて、ニガってなに?って答えたのをおもしろがられて仲良くなっていくのが笑えた。
素直で真面目なとこが、彼らにとっては新鮮でクールに感じるっていうね。それでどんどん仲間うちで認められていく。スケボーで屋根と屋根のあいだの空いてる空間を飛び越すのを、やって失敗して落ちて頭から血をダラダラだすんだけど、こいつ度胸あるぞってまた認められる。
クールであることがもっともかっこいいことだみたいな時代。若者って別になにか実績があるわけでもなにかできるわけでもないから、あいつはかっこいい、あいつのやってること言ってることかっこいいっていうのがもっとも重要な価値をもつ。
だからクールな音楽きいて、クールな服着て、クールなことやって、悪ぶってマッチョぶるのもクールだっていう感じの時代かな。スケボーやって無茶なこともやる。酒もドラッグもやって女もかまして、それがクールだろっていうね。
だから主人公の少年ははやくクールなやつになりたくて必死に背伸びする。それが母親からしたら理解できない。まあそりゃそうだなあ。母親も若い時はむちゃくちゃやってたと兄貴が言ってたけど、大人になったら若いときのむちゃが全然かっこいいことに思えなく、バカにしか見えなくなるもんですよね。
それと毎度描かれるのが父性の欠落。父親の不在。青春ものでは親の存在が消されるけど、まだ母親は描かれるほうで、父親のほうはまったくいないものとして扱われるのが多いですね。
仲間内のリーダーが擬似的な父として描かれることが多い。実際そうだったかなあ?よくわかんないけど、自分が子供のころを思い返すと、やっぱそうだったような気もする。父親って家にいない、家にいると不機嫌な怖い近づきがたい存在で、全然頼りになるような存在じゃなかった。
まあ、そんな感じでなかよくたのしいグループだったんだけど、じょじょに不協和音がひろがっていく。主人公があとから来てどんどん認められていくのをいい気しないやつがいたり、プロスケーターを目指すやつと、ただパーティーやってハイになるだけの毎日のやつが親友だけどすれ違っていったりしだす。
彼らは仲間だけど、それぞれ家庭の事情も違うし金銭的な状況も違う。なんかクールなことしたいということだけで集まってる仲間。未来が見えない、確定してない若者の時期だからつるむことができる仲間なんすよねえ。
まあ、最後、交通事故おこして、死にかけるんすよ。すげえ大事故なんすけど、主人公だけ大怪我。おまえだけいつも傷だらけだなって、そんなにがんばんなくてもいいぞ、俺たち仲間だろっていうのがぐっときたなあ。
うちの子供と悪の道にひっぱりこまないでと激おこだった母ちゃんが、交通事故おこして死なせかけたのに、仲間たちを友だちと認めてたのはよくわからんかったけど。
まあ、雰囲気映画でしたね。洒落た感じの映像とストリートファッションと音楽。それが楽しめたらおもしろく見れる映画かな。