そんな彼らがNYで出会い恋人になった。友人の結婚式に参加するために里帰りする彼についていって彼の母親や祖母に紹介される主人公は果たして認められるのかっていう話。彼女は彼氏の素性をまったく知らないんすよ。里帰りして初めて知るんすけど、いやー、今のスマホSNS時代にそんなことありえるのか?って思ったけどね。
主人公はなんも知らずに純粋に彼が好きっていう設定だったけど、ほんとは全部知ってて玉の輿にのる作戦を入念に練っててそれが成功したっていう話なんじゃないかって裏読みしちゃったよ。
だって冒頭の講義のシーンでポーカーのブラフが出てくるし。生徒とポーカー勝負して彼女の手札は役なしのブタで掛け金全額かけるという手段にでると、相手はびびって降りる。彼女は相手の負けて今の勝ち分を失いたくないという気持ちを引き出すことで勝つ。
人間には今もってるものを失いたくないという心理があって、そこにはまると論理的な判断ができなくなるという実験なんすけど、まさに最後に彼女が恋人の母親を打ち負かすために使うのがこれなんすよ。
麻雀やって自分のツモであがってたのに、あがりを宣言せずに捨ててその牌でお母さんがあがるようにするという演出。積み込みやってたのかな?
わたしはあなたに負けたんじゃない、息子に恨まれて暮らしていくあなたをあわれんでわたしがあなたに勝ちを譲っただけ、わたしに譲ってもらったことを一生思って生きなさいよって、主人公は恋人の母親にかます。呪詛だな。
いやさ、すごい手をうったもんだなあ。母親にとって息子に恨まれるということがもっとも痛いとこだっていうね。そこをついてくる。家族を一族を守りたいという思いを利用する。主人公を追い出せたとしても、それで息子との関係が取り返しのつかないことになって、結果家族を失うことになるという脅し。
しかも勝ちを譲られる。このまま息子と強引に一緒になって息子さんを奪ってもいいけどそれをしないでおくと慈悲をかけられる。あなたが守りたい家族が無事なのは、わたしがここで引き下がるおかげだと忘れないでねって。
ああいう苦しい状況を戦って生き抜いてきたと自負するプライドの高いミシェル・ヨーみたいな人は、勝ちをゆずられるというのを良しとしないでしょうね。負けは負けと認める潔さがある。借りを作るなんて耐えられない。そういう心理をついてくる作戦で見事に成功する。
いやー、経済学の教授やってるだけありますねみたいな。相手をよくわかってる。そんなすごい心理戦が展開しているというのに、肝心の恋人の男はのほほんと呑気にお坊ちゃんやってるのが笑えた。
育ちがよくてみんなに大事にされて育てられたから、性格がいいんだろなあみたいな。うーん、なんかこれって恋愛ものというより、オーシャンズ11とかなんとか大作戦みたいなクライム・サスペンスものなんじゃないかって思っちゃった。
玉の輿成功で、特大の指輪もゲットして、計算通り、ニヤリみたいな。主人公のタフさ、度胸のよさ、頭のよさが見事だった。ああいうガッツがあって頭がいい人が嫁になって、あの一族はまた一段と金儲けをやって資産を増やして繁栄していくんだろう。
恋人の親戚に、同じような格差カップルがいてそっちはうまくいかないのが描かれる。女が金持ち一族で男のほうが庶民のカップルなんだけど、女のほうが夫をもり立てようとあれこれするんだけど、夫のほうはそれを心の底では苦々しく思ってて浮気にせいをだしている。
金持ち一族で自身もインフルエンサーで有名人で成功者の妻は、起業祝いに時計をプレゼントしたり夫のちからになろうとするんだけどうまくいかない。あのプレゼントしてた時計ってロレックスのデイトナのポール・ニューマンじゃなかったか。数千万円する時計だよなあ。
なにか力になりたい、なにかできることはないかと悩むんすけど、結局、男のほうに戦うガッツがないからダメなんだっていうね。戦おうという気がないやつに、いくら支援しても暖簾に腕押し糠に釘ってわけ。
男のほうに戦うガッツがないのがダメになった原因って感じに描かれてた。そうなんだよなあ。ほしいものがあれば戦って勝ち取ろうとするガッツがなければいくらサポートがあってもダメなんだ。主人公は戦うガッツがあったから金持ち一族の一員になれたわけだ。