出だしはマンガの夜王とか嬢王とかみたいな話かなって感じで始まります。ストリップクラブで働くコンスタンス・ウー。どうやったら稼げるのかよくわからずストリッパーとしては3流。どうにか稼げるようになりたいと、お店でひときわ輝くスターであるジェニファー・ロペスに弟子入りする。
なるほどこれでジェニファー・ロペスと師弟関係になって、そのうちコンスタンス・ウーがのしあがっていったりして、いがみ合ってドロドロ関係になっちゃってみたいな水商売サクセス物語が展開するんだなって思って見てたら、そういうわけじゃないんすよ。
ポール・ヴァーホーヴェン監督の「ショーガール」みたいな展開になるのかなって思ったら全然違う。
途中でぱったりストリップの話出てこなくなったりします。コンスタンス・ウーがシングルマザーになってストリッパーやめてお店ともジェニファー・ロペスとも疎遠になる。なんとかひとりでやっていこうとするけど、うまく再就職もできないし頼りになる男もいないということで、コンスタンス・ウーはストリップバーに舞い戻る。
もどってみたストリップバーは様変わりしていた。リーマンショックがおきて、大金をおとしていた金融関係の太客がいなくなって、ストリッパーはロシア人だらけで、数百ドルで違法なサービスをしているような景気の悪さ。
ジェニファー・ロペスとも再会。二人でまたリーマンショック前のよかった時代のころのように組んでやろうと意気投合。ただお店で客を待ってるだけじゃダメだってことで、自分たちで客を外でゲットして店につれてきてクレジットカードを使わせるということをやり始める。
ぼったくりバーの手口じゃないか。アメリカでもあるんだなあ。
バーで金回りのよさそうな男を物色。ドラッグを混ぜた酒で酔わせてストリップバーで楽しもうと連れ出す。酒とドラッグで酩酊している男のクレジットカードで高額の支払いをさせる。この手口が大当たり。うまくいくし、仲間もさそってチームとしてやっていく。
酒に混ぜるドラッグの調合を試すシーンで、配合をいろいろやって試してふたりとも爆睡しちゃったりとかしてて笑えた。めっちゃ危ないことやってるけど全然深刻な感じはありません。
そのうち仲間内だけじゃさばききれないということで、嬢を外注で雇って手広くやったりし始める。そうなるとだんだん雑になってきてほころびが出始める。
リーマンショックでお金も職も奪われた金融に関係ない普通の市井の人間。一方ショックを引き起こしたウォール街のやつらはお咎めなしでまだ金持ってる。そいつらから奪われたものを取り返してるだけだっていう屁理屈で、彼女たちはお金持ちで遊び人だけをターゲットにしていた。
金持ちだから羽目を外して一晩で数千ドル彼女たちにとられたからといってふところは傷まないから通報される危険が少ない。それでうまくいってたんすけど、手広くやり始めてターゲットがそういういけすかない金持ちだけじゃなくなってきてた。
それに雇ってる女の子たちの質も悪くなっててそれであっさりと彼女たちの犯罪は明るみになって逮捕です。終わりはあっけないもんです。
この映画はその犯罪のスリルとか興奮とかを描くんじゃなくて、コンスタンス・ウーがジェニファー・ロペスとの間に感じていた仲間意識、家族同然の愛情、それが本物だったかどうかという部分が話の重要なポイントとなって描かれてる話なんすよ。
犯罪グループのファミリー愛物語。犯罪がうまくいってて最高の瞬間を一緒に味わった。あのとき感じていた仲間愛は本物だったのかっていうね。インタビュアーにコンスタンス・ウーはジェニファー・ロペスが自分のことをどう言っていたのかって聞くんすよ。
それが彼女にとって一番重要なことだった。ジェニファー・ロペスは彼女のことを家族同然の大事な人だと今でも思ってることがわかってコンスタンス・ウー号泣みたいな。
いや、まあいい話風だけど、普通に犯罪グループですけどねみたいな。あんなやり方で死人がでなかったのが不思議なぐらいだ。ほんとの事件では死人でたのかな?
でもけっこうこういう犯罪を媒介にして疑似家族を形成する話って好きだなあ。よくありますよね。「ヒート」とかもそうじゃなかったっけ。「ワイルド・スピード」もそうだし。一緒に悪いことすると仲間意識強くなるんかな?