そんで松坂桃李はうまくやっていた。ヤクザ親分連中にうまく取り入って、どの派閥も金持ち喧嘩せずで持ちつ持たれつの状態を作り出し、ヤクザたちは抗争をしなくなっていた。うまい調整役として松坂桃李はうまくヤクザたちを無力化してたんすねえ。
そこに狂犬の鈴木亮平が出所してくる。まあ狂犬というかただのキチですね。子供のころに両親を殺した。お気に入りの殺し方は目を指で押しつぶすやり方です。まあそんでこの狂犬が暴れだして静かだった広島もにわかに騒がしくなってくる。
看守の家族にお礼参りしたり、親分の会社乗っ取ったり、容赦ない暴力で好き勝手やる鈴木亮平。なんか子供のときに父親に虐待され続けておかしくなったみたいな感じで描かれてました。暴力をふるう父を殺し、見てみぬふりをしていた母親の目を潰して殺す。
なんか心のどっかが壊れたみたいなキャラクターとして描かれた。
またさ、この鈴木亮平の耳が尖ってんの。悪魔の耳みたいに見えてものすごく怖い。あの耳はつけ耳なのかな?鈴木亮平ってもともとああいう耳の形してましたっけ?まあとにかく悪魔的な風貌に見えて怖いなあ。悪魔みたいなことを平気でするやつです。
親分連中に噛み付いてどんどん好き勝手する鈴木亮平。こいつをどうにか止めないとと、チンピラを情報屋としておくりこんでなんとかしようとする松坂桃李。松坂桃李は悪徳刑事を装ってても根が真面目ですからね。
真面目にどうにかしようとする真面目な松坂桃李と心がぶっ壊れた狂犬との対決。
警察の上層部もなにやらやってます。松坂桃李が持ってる役所広司から受け継いだ警察内部やヤクザの情報がどんなものか調べるために警察側もいろいろとやってるみたいなんですよ。
松坂桃李は自分だけが、裏で動いてると思ってたけど裏で動いてるのは自分だけじゃなくて、自分すらも利用されていたとわかって愕然とする。公安は怖いなあ。中村梅雀がいい役してましたね。あれは騙されるね。
一見無害なロートルでこのひとだけは大丈夫だろって思わせるやわらかい風貌と物腰。松坂桃李もころっと騙されてしまう。ヤクザたちをだまして、警察をだまして、うまくやっていたつもりの松坂桃李は自分も騙されて利用されていたと知って愕然とする。
鈴木亮平は警察上層部の判断でわざと泳がされていた。まあ、それでいろんな人が犠牲になっちゃうんですよねえ。西野七瀬の弟が松坂桃李の情報屋として鈴木亮平の組に送り込まれるんだけどバレてやられちゃう。
そんなこんながあって最後に勝つのはどいつだみたいな。潜入ヤクザ映画としてはなかなかおもしろかったですね。従来の東映みたいなヤクザ映画ってもう陳腐化してるジャンルだと思うんすよ。もうクラシックなというか、もはやコントっぽく見えちゃうというかね。
そういう手垢がついた廃れたタイプのヤクザ映画を潜入捜査ものとして、今の時代でも見れる感じに仕上げてあるのがなかなかうまいと思ったなあ。古臭いんだけど、今の映画っぽさもあるというね。そのバランスがいいんだろね。
ちょっと残念なのが格闘アクションの見せ方。なんか迫力全然なかった。鈴木亮平と松坂桃李がもみ合いになって殴り合いしてたけど、フオ!とかウウウ!とかうめき声は勇ましいんだけど、全然勢いがない格闘で残念だったなあ。
映像の質感や俳優たちは現代バージョンなのに、アクションは昔のヤクザ映画より迫力ない。それがなんだかなあみたいな。なんだかなあというと、あれってどうなんだろ。車に乗ると後部座席に人が乗ってて驚くみたいなやつ。
中村獅童が車に乗り込むと後ろに松坂桃李がいてびびるみたいなシーンあったけど。そんなこと成立する?っていつも思う。刑事ものとかでよくあるんだけど、後部座席に人が乗ってたら車に乗る前に普通に気がつくけどなあ。どういうことなんだろみたいな。いつも思うなあ。
後部座席で床にふせてまるまってたとしても気がつくよね。車に乗ろうとしたら後部座席に誰かいるのがわかって、なんだ?ってなると思うんだけど、映画では何も気が付かずに乗り込んでから後ろにいてびびるみたいな。あれほんと不思議なんだけど誰がやり始めたんだろか。