犯罪ものなのになんだかとっても落ち着いたムードで静かな時間が流れていく。カチャカチャ、ガチャガチャ浮ついた感じが一切ないんすよ。こういう刑事が悪党の金を奪う計画を実行するような話って、浮ついたトーンで描かれること多いから、謎の重厚感があってけっこうそこは好きですね。
まあ、テンポが遅いので上映時間がめちゃくちゃ長いのが欠点だけどね。でもこの遅さが意味あると思う。水の中を歩いているようなというかさ。泥沼を進んでいるというか。メル・ギブソン演じる刑事のどうにもうまくいかない人生を、このテンポが象徴してるって感じしたから、このテンポの遅さは嫌じゃなかった。
でもそこは別にえがく必要ないんじゃないかと思うとこもあったけどね。ジェニファー・カーペンターのパートはいらないような気もしたなあ。犠牲になる人にもその人の人生があるっていうのを見せたかったのか。
それにメル・ギブソンが主人公かと思ったら、そうじゃなかった。W主役っていうかさ、むしろ主役はトリー・キトルズなんだ。メルギブは危ない賭けに出て失敗した主役で、トリー・キトルズは危ない賭けに勝った主役。
表と裏の主役。リスクをとって危ないことやって失敗すれば野垂れ死に。生き残ったら大金持ちで大富豪の暮らし。どうせ何もしなくてもじょじょにすり減って死んでいくのなら、いっぱつ勝負して犯罪でもなんでもやったろかってなるのかもね。