時代設定は日露戦争後かな。主人公はフィリピンのベンゲット道路工事が終わって 帰国した暴れん坊。
フィリピンに行く前に一度だけ関係をもった南田洋子に娘がいて女手一つで育てていたのを知り、これからは俺が働いて一緒に暮らしていこうというところで体を病んでいた南田洋子は死んでしまう。
そんな感じで子供が大きくなって孫の代になってみたいに時代がどんどんうつっていきます。時代がかわっても主人公は変わらず、 人力車引きをやって娘や孫を育てていく。主人公の男は気難しいおっさんなんすよ。
人間、体を酷使して仕事せなあかんというポリシーの持ち主。昔ながらの日本男児っていうやつでしょうか。デリカシーとか粋な思いやりとか一切ないタイプです。
そういう男が、大変なことが終わってやっと 一息ついてのんびりできるかと思いきや、また大変なことがおきて落ち着く暇がないまま死んでいくという話。
フィリピンでの道路工事は劣悪な環境で どんどん人が死んでいくような大工事。日本に帰ってきて嫁と子供ができて みんなで暮らしていけると思ったら嫁は死ぬ。
娘が大きくなって結婚したかと思いきや、 旦那の桶屋が火事のとばっちりで全焼する。
くよくよする旦那にフィリピン行って一旗あげてこいと無理やり送り出すけども、そのとき娘のお腹には子供がいた。そうこうしてるうちに、フィリピンで旦那は疫病にかかって死亡。
そのショックで娘は主人公を怨みながら死亡。幼い孫娘は親なし子といわれていじめられる。そんな感じで心休まる時間がまったくありません。
男なら気合いれて体つかって頑張ってみろって、俺もそうしてんだからって 周囲の人間に発破をかけるけども、全部裏目に出てしまうみたいな。
こういう人、けっこう昔いっぱいいたなあ。とにかく体が頑丈で無茶やってもへっちゃらだから他人のことをあんまり考えずに行動しちゃう。
まだ幼い孫娘に、学校いかなかった罰として灸据えるシーンとか、今なら虐待案件で通報されるけど昔は躾でやいとすえたり殴ったりとか普通でしたな。
孫娘の旦那の三橋達也に、おじさんはベンゲットのことをあれこれ言うけど、おじさんが引き留めたから死んだ人たちの家族に恨まれてますよ、あんたサイテーだよというシーンはきついですね。
大工事をやりとげたというのが勲章でもなんでもないという指摘。
老人は昔はこうだったああだったといって 若い世代を批判するけどもそんな資格があるのかみたいな。体を張って、命をかけて、生き抜いていくのが素晴らしいのかどうか。
主人公の人生を通していろいろと考えちゃいますね。いろいろと考えるという意味では面白かったんすけどね。時代のドラマとしては面白いけど 個人のドラマとしてはいまいちかな。