赤い橋の下のぬるい水 [ 役所広司 ]
何がなんだかだった。観終わってなんだこりゃ?みたいな。いや、よくわからん話だなみたいな。今村昌平監督、役所広司、清水美沙主演、2001年のファンタジードラマ。雰囲気は、つげ義春の漫画みたいでした。原作は辺見庸の小説なんだけど、つげ義春のマンガが原作と言われても、そうなんだって思うような内容かな。
普通に見えるけど、奇妙な感じっていうかね。会社が倒産し家も売り、家族とは別居中の中年男、役所広司。再就職も年齢ではじかれるのでままならず再起のめどはつかない。
妻は仕送りの催促ばかり。失業保険で間をつなぐが、この先どうするのか、今までの俺の人生なんだったのかと思い悩む毎日。
哲学者とあだ名されるホームレスのおじいさんのとこに出入りして仲良くなって話を聞いてもらっていたが、彼が死んでしまう。
そういやおじいさんが、昔、金の仏像を能登半島にある赤い橋のそばの家のツボの中に隠してそのままになってるから、見に行ってくれと話ていたのを思い出し、
やることもないしと、実際に探して現地に行ってみると、はたして赤い橋のそばに条件にあてはまる家があり、そこにはボケてる老女と若い女がすんでいた。
若い女がスーパーで万引きするところを目撃した役所広司は彼女に近づいていく。仕事と家族につかれた中年男性が遠く離れた田舎町で見つけた新しい生き方、みたいな話ですかねえ。
人生再発見ドラマみたいな。いい話なんだけど、設定が奇妙なんすよ。清水美沙の設定がちょっと笑っちゃう。水が大量に出ちゃう人なんすよ。万引きするシーンで、なぜか彼女の足元が水浸しで水たまりができてる。そのあと、役所広司と合体シーンで、大洪水でそこらじゅうが水浸しになる。
なんかよくわからないけど、水が溜まりやすい体質で、水がたまってくるとムラムラして万引きして発散させていた。
男とやって思い切り放水することでも発散できるってことで、役所広司はぼくでよかったら協力しますと、清水美沙の水がたまってくると、相手をしてっていう生活が始まる。
漁師町なので漁師の手伝いとかやって、漁から帰ってきて清水美沙のところにダッシュでかえって抱いて、大洪水でみたいな。
つい先日まで東京で職なしで家族とも疎遠でこの先どうするのかと路頭に迷っていた役所広司なんすけど、イキイキと元気になってんの。
つぼの中の黄金の仏像とかどうでもよくなったころに、ホームレス仲間がお宝独り占めする気かと追いかけてきて居座ったり、雇ってくれた漁師から、
お前にそっくりで昔、死んだやつがおったとか聞かされたり、清水美沙に他の男がいるんじゃないかと疑ったりと、何かありそうな展開が続くので、最後まで楽しめました。
でも、終わり方がなんだかよくわからなかったけどね。北村和夫演じる哲学者ホームレスは、なかなかいいこと言ってましたね。会社は考えない奴隷を作ってこき使うところだとか、人生珍宝が硬いうちだとかさ。
ほんとそうですよねえみたいな。体が元気ならそれでなんとかなっちまうのが人生ってことじゃないすか。
役所広司は職なし家族からも見捨てられこの先どうなるのかわからず考え込んで悩んでいたけど、股間はカッチカチで元気だったから、
見知らぬ土地に行って漁師とかやって清水美沙抱いてって、新しい人生が開けたわけで。
フニャフニャだったらこうはいかない。結局、死んじまったらどうにもならんてことかあ。生命力があるやつは、どうにかなってもどうにかやっていける。
まあ、現代社会につかれた大人のためのファンタジー映画って感じっすかね。ニュートリノを観測するカミオカンデで役所広司と清水美沙がデートするシーンとかあって、なんとも不思議な作品でした。
DVDレンタル:赤い橋の下のぬるい水