魔女卵
ツッパリ+ロック=青春なんだこの映画は……みたいな。
1984年、和泉聖治監督、
渡辺祐子、我王銀次、西岡克哉、
いきなり聖飢魔Ⅱみたいな女の人が出てきて、
メタルっぽいハードロックをやってる
ライブシーンからスタート。
すげえインパクトがある。
なんだこのセンス……みたいな。
キワモノ、ゲテモノ感がすごいんすよ。
80’sど真ん中のファッションや音楽が
すげえいい具合にダサくて
最初、見てられないって感じになるんだけど
観終わってみると、
けっこうまともな青春映画になってて
映画としての出来は良かったです。
ルックが難あるけど
内容はまともで、ちょっとびっくりです。
主演の渡辺祐子の演技が演技に見えない。
あまりに板についた不良少女ぶりで
ほんとにこういう人なんだって勘違いしてしまうぐらい
自然体で不良やってました。
態度がすげえ悪い。
喧嘩、男遊び、絵にかいたような気の強い不良少女。
マンガに出てくるキャラみたいです。
そんな彼女が東京もんの男にナンパされて
やられそうになってるとこを我王銀次に救われる。
彼が出入りするバーでロックに出会ってはまっていく。
80年代ロックって、ヴァン・ヘイレンとか
そういう感じですかね。
ホワイトスネイクとか?
ボーカルは高音シャウト系で
髪の毛パーマで
みんなガリガリでタイツとかはいてんの。
彼女は最初ロックとかダサいと言ってたけど
どはまりして家出して我王銀次の部屋に転がり込んで
バーで働きながら、
お気に入りバンドのギターに惚れこんで
オーディションにむけて衣装と楽器をそろえるために
金を稼ぐ。
仕事はシンナーの販売。
ヤクザにだまって水増しして売ってたのが
ばれてボコられそうになるのを
我王銀次にまた救われてみたいな。
まだ金が足りないってことで
老人相手の売春まがいの仕事を世話してもらったり、
やってること無茶苦茶やなあみたいな。
惚れ込んだらとことん行くとこまで行くのが
真のロックやということで
彼女はただのグルーピーとは違うと
人生かけてのめりこんでいくわけです。
なんか、そののめりこんでいく感じが
不良のツッパリ文化と親和性が高いっていうかね。
本気と書いてマジと読むみたいな。
背中に刺繍背負って人生かけて不良やるみたいなのと
ロックという音楽に人生かけて
ロッカーとして生きるみたいなのが
同じように思えてくる。
不良とロックってあうんですね。
しかし、バンドの東京オーディションは落選。
ギターのやつはロックやめて
実家に帰っておとなしく生きることを選ぶ。
幻滅。
バーのママはバンドマンと一緒に自殺。
ショック。
不良少女のロックにかけた青春は終わったみたいな。
そしてオープニングで出てきた
聖飢魔Ⅱみたいな女性ボーカルが
メタルっぽい曲を歌うシーンになっておしまいと。
いやー、見た目のきつさがすごいですけど、
話としては青春してて面白かったです。
我王銀次が男気あふれるいい男を好演してました。
渡辺祐子にひかれてるけど
おれは兄貴みたいなもんだからと
優しく見守り続けて最後に二人はいい感じになる。
これも青春だなあって思ったね。
いろいろあって、最後に行きつく場所が
一番大事な場所なんだなみたいな。
でもなんかものすごく熱い映画だったなあ。
一時期であったとしても、
人生何もかもかけて無茶して
ひとつのことにのめりこむということが
自分はなかったので、
こういう熱い人間の熱い話は
憧れをもってみてしまう。
結果、なんにもならなくてもいいじゃないか。
青春ってそういうもんだろっていうね。
青春を感じるいい映画じゃないかな。
80年代の大阪の街の風景も見れてよかった。
車が古いぐらいで街の風景は
あんまり今と変わってないなあって思ったね。
大阪全然発展してないなみたいな。
路面電車が走ってたりするシーンや
材木置き場でみんなではしゃいで遊ぶシーンとかも
あったりでロケーションも楽しめる映画ですね。