お話は人生に迷う30歳女のドラマって感じかな?年寄りが見ると面白みがある話だけど、若い人が見ると、主人公が嫌なやつなだけに感じるかも。ほんとに最悪じゃん!みたいな。
主人公のユリヤは医学生だったけど、わたしは人のからだより精神に興味があるんだと思って心理学の勉強を始める。だけどこれもなんか違う、わたしはカメラに興味があるんだと心変わりして書店でアルバイトしながら写真家を目指す。
浮気性というか、人生のレールにのったと感じると、そこからはずれたくなる人って感じがしました。先が見える、見えたと思うと、とたんに嫌になる。可能性が無限大、なんにでもこれからなれる、なんでもできるという状態にいることが心地良い。
だから、職業はころころ変わるし、興味もころころかわるし、男もかわる。子供は作りたくない。
十代、二十代ならこれでもいいけど、もう30歳なんすよ。
漫画家の彼氏アクセルと暮らして、このまま結婚でもして、子供作って……って思ったら、もう彼氏と別れたくなってんの。
なんだろね。人生の進む道が決定してしまうと、責任もともなうから、その責任をとりたくないって感じなのかなあ。
結婚すれば、相手に責任もたなきゃいけなくなるし、子供ができれば子育てに責任がでてくる。そうなると、自分が自分の人生の主役ではなくなってしまう。
だから心移りしてあれこれ手を出す。周囲の人からは、いいじゃん、それ、やってみたらって言われるし、適当に書いてみたコラムも褒められたりするんだけど、彼女はぜんぜん満たされません。
漫画家の彼氏との生活も潮時かなっていうときに、他人のパーティーに紛れ込み、そこで知り合った男アイヴィンと仲良しになります。
お互いふざけ合う。楽しけりゃいいじゃんみたいなノリがぴったり。お互いのワキのニオイをかがせあっておもしろがったり、お互いの小便してるのを見せて大笑いする。
アイヴィンにも彼女がいるんだけど、ヨガや自分のルーツ探しにはまってる個性が強い変な女で、アイヴィンはそんな彼女に適当にあわせてるだけの男なんすよ。
人生の道が確定して責任をとる生き方をしたくない、若い気分で楽しく過ごしたいという二人が一緒になったって感じ。
似た者同士なのでうまくいくんだけど、それも長くは続かない。予期しない望まない妊娠をしてしまう。自分もアイヴィンも子供はいらない派だったから、どうしようと悩む。
別れたアクセルが膵臓がんで余命幾ばくもないと知らされて、話をしにいく。君と一緒の暮らしは最高だった、君は最高の恋人だというアクセル。彼は漫画家でけっこう売れてる漫画家なんすよ。売れてたかな?
過激で下品で、今の時代ではコンプラにひっかかりそうなマンガを描いてる。女性蔑視だと言われたりもする作品なんだけど、それをアクセルはアートとは心地よいだけのものではないという信念をもって描いてる。
作品を描いて発表することは批判にさらされるという責任に向き合ってる人なんですよ。ユリヤとは正反対というか、ユリヤがなりたいのはアクセルのような人なのかもしれない。でもなれない。
まあそれでアクセルは容態が急変して死去。ユリヤは流産。そこから時間が流れて、ユリヤがスチールカメラマンとして仕事してるシーンになります。女優の写真とったりして、写真家としてちゃんとやってんだなって。
女優が仕事をおえて帰るところに、迎えにきたのが赤ちゃんをつれたアイヴィンです。ユリヤと別れて女優と一緒になって子供をもうけたんだなあ。子供ほしくないって言ってたけど、相手が違うと考えもかわるんだろね。
それをなんの感情もなく見てたんたんと仕事をするユリヤ。おしまい。
結局なんなんだろなあ~みたいな。よくわかんなかったですね。おもしろくないってこともないし、おもしろいっていうこともないというか。
人生いろいろあるねっていう話かな。主役の女優さんが、杉田かおる氏に見えるときがあったなあというのが印象に残ってます。