潮騒は何度も映画化されてる。その時代時代で旬の女優やアイドルがヒロインを演じてた。でも最近はしないですね。三島由紀夫もけっこう忘れ去られてきてるのかなあ。
けっこう好きな話ではあります。ストレート。変にこじれてないシンプルな物語になってるのが、逆に良いって感じる。凝った話に疲れてるときは、こういうシンプルなのがほっとするんだ。
シンプルすぎて退屈だって思うかもしれないけどね。浜田光夫は漁師。若者。吉永小百合は海女。養子かなんかで島の外に出されていたけど、島に戻されて最近帰ってきた。
許嫁がいて近いうちに祝言をあげるとかなんとか。なんだけど、浜田光夫と吉永小百合がひかれあって好きあう。天気が悪くて漁がない日にしめしあわせて密会。
嵐でずぶ濡れになって、焚き火で体を乾かす。全裸をお互い見せあって、わたしがほしいなら、その火を飛び越して来い!って吉永小百合が言って、よーし、行くぞ!って浜田光夫がジャンプして抱き合う。
弾ける若い恋心。まあ、当然というかなんというか、吉永小百合のヌードはありません。
別のシーンで、吉永小百合の胸を見て、正真正銘、男を知らない生娘のカラダだってオババが太鼓判押すシーンとかあるんだけど、裸は写ってません。
浜田光夫も全裸が写ってるわけじゃないです。これ小説だからいいけど、実写で裸モロにうつしたら生々しくなっちゃってダメかも。
裸でぶつかりあい、お互い抑えられない恋心を持ちながらも、最後の一線は超えない二人です。
結婚するまではしないでおこうって、踏みとどまる。若さゆえの精力の爆発と同時に、若さゆえの潔癖な生真面目さがある。
まあ、それで密会してることが噂になって、二人の仲に赤信号なんだけど、周囲の大人たちがいい人たちで、二人をちゃんと見守って、二人の愛を育む手伝いをしてくれる。ちゃんとした大人たち。
反対してた大親分も、浜田光夫が嵐のなかに飛び込んで船を守ったことで、二人の仲を正式に認める。漁師としてのチカラと度胸をしめした浜田光夫を正当に評価する。
大人たちがちゃんとしてるんだよなあ、この話。やな野郎っていうか、悪役というか、悪いやつが出てこない。浜田光夫のことを思ってた東京の女、松尾嘉代にしろ、許嫁だったやつにしろ、
最初は邪魔するけど、最後は二人をちゃんと認めるし。
もうこれは現実というより、神話の世界に近い。三島由紀夫の小説は読んだことないけど、そういう理想の若さ、理想の大人、を描いた小説なのかな?
神々しさを感じる物語だ。スパニッシュギターの調べも、なんだか異国情緒を感じさせる。人間臭い、ドロドロドラマを期待する人には物足りないかも。
あっさり何もかもうまくいってるから、なんもドラマないなあって思うかも。
まあ、これ今だったら誰と誰で映画化するかな?なかなかぴったりくる人はいないかもしれないですね。ワイルドさがないと似合わない役だ。
生っ白いイケメンとスキンケアに熱心なタレントじゃとても演じられない。